
色とりどりのヒオウギ貝。40年近い地道な努力で佐伯の特産品に育ててきた
県南の特産品としてファンも多い佐伯市蒲江のヒオウギ貝(緋扇貝)が四十年近い養殖の歴史の中で、最大のピンチに立たされている。歳暮の発送に追われていた昨年十二月下旬、貝のむき身から規制値を上回る貝毒が検出され、出荷を自主規制せざるを得なかったため。年間出荷量の四割から半分近くが年末に集中しているだけに、生産者は「お先真っ暗になった」「損害額は数千万円」と、大きな打撃を受けた。ヒオウギ貝養殖は一九七一年に試験養殖、七四年から本格養殖が始まった。特産品として定着してきただけに、ヒオウギ貝養殖の灯を消すなと佐伯市と県は支援策を検討。七、八の両日には大分市のトキハインダストリー「あけのアクロスタウン」でキャンペーンを展開する。
ヒオウギ貝養殖は、蒲江のヒオウギ貝生産組合(日高敏雄組合長)の五生産者が小(お)蒲(がま)江(え)湾内で、養殖。年間百万個を出荷、販売している。
プランクトンの豊富な海中に貝をつるして太らせる無給餌養殖なので、海を汚さない地球に優しい手法。
生産過剰などで一九六八年に真珠が大暴落したのがきっかけで、真珠貝(アコヤ貝)を養殖していた業者の一部が始めた。
日高組合長の話では「最初は県内で食用としてなじみがなかったので販路が確保できず、手間代にもならなかった」と話す。その後、「小さな苦労はあった」ものの、地道に努力し、特産品に育ててきた。
貝毒が出るのは「十年に一回程度」で、それも春先に出ていたが、昨年十二月二十五日、ヒオウギ貝のむき身から規制値(一グラム当たり四マウスユニット)を超える五マウスユニットの貝毒が検出された。
冬場、規制値を超えたのは初めてで、歳暮の出荷時期と重なったため、商品の回収や代金の返還などに大みそかのぎりぎりまで追われた。
支援のキャンペーンは、七、八の両日午前十時から、「あけのアクロスタウン」で、炭火焼きして買い物客に無料で試食してもらう。県南部振興局と佐伯市が協力、県の地域活性化総合補助金を使って買い上げて実現する。
会場では生きたヒオウギ貝も販売。消費者にヒオウギ貝のおいしさをアピールする。
貝毒とは
ヒオウギ貝やカキ、アサリなどの二枚貝はプランクトンを餌にしている。このプランクトンの中に、人間に害を与えるものがあり、これを食べた貝が毒化する。まひ性貝毒プランクトンといわれるもので今回の「アレキサンドリウム カテネラ」や例年、春先に発生して影響が出る「ギムノディニウム カテナータム」がある。食品衛生法(第四条)で規制値を超えた商品が出回れば罰せられる。
専門家の県農林水産研究センター水産試験場=市内上浦=養殖環境担当の宮村和良さん(36)に聞いた。
試験場では二十年前から毎週一度、水質を検査してプランクトンの有無などを調べている。これだけきちんと検査しているので、出荷された貝はどこよりも安全。安心して食べてほしい。
昨年十一月の海水温が黒潮の影響などで、平年より二度弱高い二二・五度あったため、増殖が進んだ。瞬間的に増え、すぐに終息した。育ちやすい水温になったのだろう。これまでの研究から発生のメカニズムが分かってきており、発生予測ができるようになった。プランクトンが急増する前に、ヒオウギ貝を安全な海域に避難させればいい。場所が確保できるかの課題はあるが、一時的に移動させれば被害を防げる。
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