
格差是正の必要性を強調する石井久子会長
労働組合のない職場で働く人など立場の弱い労働者のための金銭的な安全網(セーフティーネット)として、地域別最低賃金(最賃)制度がある。格差是正や生活保護との整合性などの観点から二〇〇七、〇八両年は大幅に改定された。世界同時不況による大手製造業の減産で非正規労働者の大量解雇が社会問題化する中、最賃の考え方や今後の見通しについて、大分地方最低賃金審議会の石井久子会長(弁護士)に聞いた。
―〇八年の最賃は昨年十月に発効した。改定に当たっての基本的な考え方は。
石井 近年の活発な企業進出など好調だった経済情勢を踏まえ、時間額を十円上げて六百三十円にした。〇六年以前の引き上げ幅(二―三円前後)に比べ高い水準になった。
―今の最賃は働く人にとって十分な水準なのか。
石井 最賃ぎりぎりで一日八時間、週六日働いたとして年収は約百五十万円。結婚もできない、結婚しても共働きしないと生活できない水準だろう。また生活保護水準に比べると少し上回っているが、労働の対価と生活保護がほぼ同水準というのはおかしい。
―最賃の在り方と現行水準についての考えは。
石井 派遣労働者の急増などから雇用形態による格差の問題が深刻化しており、是正の必要性を強く感じている。最賃は労働組合がなく賃金交渉できない未組織労働者の安全網。使用者側にとっても労働力を確保していく上で賃金水準の維持は重要であるはずだ。
―内需拡大の観点から、労働界からは大幅アップの要求も根強いが。
石井 使用者側の支払い能力を考えないといけない。未組織労働者の多い中小零細企業は国際競争の激化などでやりくりするのに精いっぱい。「一円上がっても経営には大きく響く」との声も聞く。また他県の数字ともある程度合わせないといけない。どこでバランスを取るかは難しい課題だ。
―〇九年の改定はどうなるのか。
石井 〇八年の改定作業が終わってから景気が急速に悪化し、見通しが不透明な状況になっている。数年前にも不景気で最賃が上がらない時期があったが、当時とは食品をはじめとする生活必需品の物価など社会経済情勢は変わっており、安全網としての最賃を議論する際には十分考慮しなければならない。また毎年の改定は、将来働く子どもたちにも影響する。努力すれば生活できる賃金水準にしていくことが大切だ。
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