
約70日間にわたる改修工事で、延べ約50万人が動員される見通しの第一高炉(右側)=新日鉄大分製鉄所
新日鉄大分製鉄所(大分市、大下滋所長)が二〇〇九年春、第一高炉の改修工事に取り組む。七百―八百億円を短期集中的に投じ、容積拡大を図る。工事期間中の約七十日間に延べ約五十万人が動員される見込み。県内でも製造業全般の減産と人員削減が加速する中、一時的にせよ、雇用を含めた大きな経済効果をもたらすことが期待される。
第一高炉は改修を終えると、容積が八百九十立方メートル増えて、世界一を誇る第二高炉(五千七百七十五立方メートル)と同規模になる。粗鋼生産能力(〇七年は九百三十万トン)は一千万トンに達する。
同製鉄所(社員約千五百人)によると、溶接や土木、輸送のほか、電気・水・ガスといったインフラ整備に携わる人員が必要になる。当初計画では三月初旬から五月中旬まで。最も仕事が集中する時期には、一日約八千人が改修工事にかかわることになりそう。
短期に大量の労働力が求められることから、半数は県外から確保する見通し。このため、大分市周辺での宿泊客の取り込み、商店街や繁華街への引き込みで商機も生まれる。
県内は、大分労働局の調べで、十月以降〇九年三月までに、非正規労働者ら二千五百人以上が失職する見通し。県などは「短期間とはいえ、高炉改修工事による経済効果や、工事に伴う地場・下請け企業の各種技能のレベルアップが図られる」と期待する。
一方、鉄鋼業界でも自動車用鋼板の需要減退などで、減産は避けられない。同製鉄所は既にフル生産の状態から8%ほど稼働率を落としており、高炉改修の前倒しを検討中。
減産する可能性はあるものの、人員削減の予定はない。「余剰人員が出ても、老朽化した製造設備の基盤強化や技能伝承に振り向ける」と話している。
メモ 高炉は主原料の鉄鉱石から溶けた鉄を取り出す重要設備。同製鉄所には2基があり、07年まで3年連続で製品出荷量の最高を更新した。増産対応と効率化を目指し、既に整備した最新コークス炉などを含めた投資額は約1200億円となる。
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