
写真は製造業から介護の仕事に転職した宗野修一さん(左)。「今日はいい天気ですね」とお年寄りに語り掛ける(杵築市の特別養護老人ホーム心助園)
大手メーカーが大幅な減産をしたり、人員削減が相次ぐなど不況の波が押し寄せる中、人材が介護業界へと動こうとしている。来年度からは介護職員の待遇改善を図るため介護報酬の引き上げも決まっており、長く人材不足で悩んでいた介護業界にとっては“明るい兆し”。だが、一方で「『働き口がないときは介護へ』という考えでは質の高い介護は望めない」との声もあり、手放しでは喜べない状況に関係者の心境は複雑だ。
日出町の宗野修一さん(39)は二十年間、家電や半導体の製造業に携わってきたが、今年十月に杵築市の特別養護老人ホーム心助園に就職した。
一年前、働いていた工場が業績不振に陥り、三十五歳以上が早期退職の対象となって失業した。「キャリアを生かせる業種で職を探したが見つからなかった」。公共職業安定所(ハローワーク)の勧めもあり、以前から関心があった介護職への転身に踏み切った。
ただ、介護職場は慢性的に人手が不足している。背景には、離職率の高さがある。介護人材の安定供給を目指す財団法人・介護労働安定センター(本部・東京都)の調査でも、県内の離職率は二〇〇七年度が24・6%で全国平均を上回った。
同センター大分支部は本年度、他職種からの転身希望者を対象に「介護職員基礎研修」をスタート。ホームヘルパー一級の養成研修より研修時間を長く設定し、質の高い介護職員を養成することで定着率向上を目指す。既に今秋、一期生四十人が誕生し、うち三十二人が介護現場に就職した。
宗野さんはその一人で、介護現場で働き始めて約二カ月。「経験がものをいう世界だと実感した。三年後には資格取得も視野に入れ、しっかり経験を積みたい」と気を引き締める。
同施設の萱嶌富行事務長は「人の流れが変わり、人手不足が解消することを期待はするが、すぐに問題解決とはならないだろう。ただ、いい介護にはいい人材が必要。今がチャンスではある」と話す。
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