県教委汚職事件で、大分地裁が六日に言い渡した元県教委参事兼教育審議監で前由布市教育長、二宮政人被告(62)=収賄罪=の判決要旨は次の通り。
【主文】
被告を懲役一年六月に処する。この裁判が確定した日から四年間、その刑の執行を猶予する。被告から百万円を追徴する。
【罪となるべき事実】
被告は二〇〇六年四月から同年十一月十八日まで、県教委参事兼教育審議監として県教育長を補佐し、市町村立学校教員採用試験の実施と、試験による採用候補者の決定に関する事務を掌握していた。
〇六年九月九日ごろ、大分市内の和洋料理店で、〇七年度採用試験の受験生の親である矢野哲郎被告(52)から、矢野被告の長女が試験に合格するよう有利かつ便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨と知りながら、百貨店商品券二千円券二百五十枚(計五十万円相当)を受け取った。同十月二十八日ごろ、同市内の日本料理店で、矢野被告の長女が試験に合格するよう有利かつ便宜な取り計らいを受けたことへの謝礼と知りながら、百貨店商品券二千円券二百五十枚(計五十万円相当)を受け取り、それぞれ自分の職務に関しわいろを受け取った。
【量刑の理由】
当時、県教委教育審議監の地位にあり、採用試験の合格者決定に関する職務権限を持っていた被告が、矢野被告から商品券の供与を受けた収賄の事案である。本件の背景には大分県教育界に、いわゆる口利きの体質があり、被告は矢野被告と知り合いであったこともあって矢野被告からの依頼に応じたようであるが、公正であるべき教員採用試験において口利きなどの不正が許されるものでないことは当然であり、本件犯行は単に口利きの依頼を受けたというものではなく、職務に関しわいろを受け取ったという質的に異なる犯罪である。
もっとも被告も当初は受け取ったデパートの紙袋に、このように多額の商品券が入っているとは思わなかったようであるが、それを知ってしゅん巡した(ためらった)とは言え、結局、利欲的な気持ちもあって受け取ってしまったのであるから、犯行に至る経緯や動機に酌むべき点があるとは言えない。
しかも、二回にわたりわいろの供与を受けたのであるから、犯行の態様も芳しくない。そして、何より教育長に次ぐ審議監という要職にあった被告が採用試験に関して収賄を行った影響は重大であって、大分県の教育行政一般に対する国民の信頼を著しく失墜させ、教師となることを目指して努力してきた受験生たちに根深い不信感を与えてしまったものと言える。以上によれば、被告の刑事責任は重い。
他方、被告は捜査公判を通じて真摯(しんし)な反省の態度を示している。また、由布市教育長を懲戒免職になるなど、既に相当の社会的制裁も受けている。なお、大分県の教育界に存在した口利きの体質は厳しく非難されなければならず、被告もそうした口利きに関与していた一人ではあるが、従前からの一連の口利きに対する社会的非難を被告のみに向けるのも相当ではない。そこで、これら被告のために酌むべき事情に本件収賄額などを併せ考慮すると、被告に対しては主文の刑を科した上、その執行を猶予するのが相当である。
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