
県教委汚職事件の判決公判で、大分地裁に入る浅利幾美被告=30日午後0時59分
ゆがんだ親心に有罪判決が言い渡された。自分の子どもを教員にするため、採用試験で大きな権限を持っていた元県教委幹部に多額のわいろを贈った浅利幾美被告(53)の判決公判。三十日、大分地裁で猶予刑を言い渡された浅利被告は何度か小さくうなずくようなしぐさを見せ、最後には裁判長席に深々と頭を下げた。
二人の弁護人とともに黒いスーツ姿で入廷した浅利被告。背筋を伸ばし、判決理由の朗読に聞き入った。逮捕から約四カ月半。浅利被告の弁護人は「結審してから精神的に不安定な状況だったが、(執行猶予付きの判決を聞き)少し安心したようだ」と話した。
佐伯市内を中心に勤務し、地域に密着した教育者として慕われていた浅利被告。地元には教え子やその保護者が多い。「合わせる顔がない」と、年老いた両親が住む市内の自宅には人目を避け、週に一、二度、立ち寄るぐらい。計画していた自宅の新築計画も白紙になったという。
実力で試験に合格した長女は今も教壇に立ち続ける。職場では「本人の責任ではない」とかばう声もある一方、「道義的な責任がある」と非難の声も根強いという。不正合格だったため、八月に辞職した長男は教職の道に未練を残しながらも、今後の進路を決めかねている状況だ。罪の代償は浅利被告の家族にも重くのしかかっている。
●「全容解明しないと 再発防止にならぬ」
「口利きの実態を徹底的に解明しなければ、時がたち、同じことが繰り返されるのでは」―。浅利被告の判決公判を傍聴した人たちは、県教委汚職事件の背景が完全に明らかにされなかったことに不満を述べた。
一連の事件で公判を傍聴しているという大分市岩田町の無職安東信二さん(69)は「同情の余地はなく、判決は妥当」とした上で、「何人かだけが悪いという問題ではない。口利きをした県議らは名前などまったく出てこない。逃れることができてよかったと思っている連中がいる」と指摘。口利きの実態について「例えば上の立場の者からの『問い合わせ』は、下の者にすれば事実上の口利きだ。実態を具体的に明らかにしないと、問題解決や再発防止にならない。第三者の委員会をつくり、さかのぼって調べるべき」と訴えた。
同市内の主婦(60)は「口利きの実態の全容を解明しないと駄目なのに、これで終わりなら大分から不正が本当になくなるのか疑問に思う」と話した。
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