
当選の祝福を受ける藤本昭夫村長(左から2人目)=28日午後、姫島村
姫島村長選挙告示日の二十八日午後五時、同選挙に立候補した藤本昭夫候補(65)の自宅に集まった約五十人の前で、島崎勝広後援会長(70)が「ほかに(立候補の)届け出はありませんでした」と無投票当選を報告した。会場から一斉に祝福の拍手がわき起こった。父で前村長の藤本熊雄氏と同じ七期連続の無投票当選を達成した昭夫氏は、出席者の祝福のあいさつを感慨深げに聞いた。村で、十五期連続の無投票が決まった瞬間だ。
村では一九五五年に元職と新人が、激しい選挙をしたのを最後に、約五十年間、村長選が”無風”。「全国でもこれだけ無投票が続いたケースはないのでは」と村選管。就任した村長の辞任が二回続いた後、西村英一元自民党副総裁の選挙参謀として活躍し、村議会議長だった熊雄氏が、六〇年から死去する八四年まで村長を務めた。同年に昭夫氏が引き継いだ。
当時を知る元教育長の追崎清太郎氏(81)は熊雄氏について「インフラ整備にいち早く取り掛かり、村の発展に尽力した。人柄もよく村民の圧倒的な信頼を得ていた」とした上で、「村民は父の村政運営をそのまま引き継いだ昭夫氏に信頼感を持っている」と無投票が続いた背景を説明する。
中には一島一村の”特殊性”を指摘する声も。「五五年の選挙は島を二分した。そもそも親類が多く、職場も住んでる場所も同じ中で選挙をすると、しこりが残り、村全体がぎくしゃくする」と、元村議の八十代男性は当時を振り返る。無理に選挙をせず、村内の人間関係の悪化を避けようとしたことが無風の一因になった―との見方もある。
基幹産業の水産業が衰退する中、人口減少、少子高齢化など村が直面する課題は多い。こうした中、村の行く末を決める選挙で、無投票が続くことに不安や物足りなさを感じている島民もいる。
姫島村長選挙
1955年に元職の藤本憲吉氏と新人の鹿野亀太郎氏が争った選挙を最後に53年間、15期連続で無投票が続いている。憲吉氏は57年12月に辞任。無投票で後任に就いた鹿野氏も2年で辞任した。60年から亡くなる84年10月まで藤本熊雄氏が村長を務めた。同年、村長に就任した藤本昭夫氏が今月28日、7期目の当選を果たした。
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