東京都で妊婦の救急搬送をめぐる悲劇が起きたが、背景にある「産科医不足」は大分県内でも深刻な状況だ。県によると、県内でもここ数年、産科の休止や閉鎖が続いており、分娩(ぶんべん)可能な医療施設は、二〇〇七年五月の三十九施設から、十月一日現在で三十四施設に減少。正常分娩を扱う三つの助産院を含めても、出産できる場所は確実に減っている。
東国東地域で唯一、分娩を扱っていた福田産婦人科内科医院は今年一月に産科を閉鎖した。「出産数が減った」「看護師、助産師の確保が困難」「晩婚化や不妊治療による妊娠で、リスクの高い妊婦が増えた」など、さまざまな要因のほか、産婦人科医が逮捕、起訴された福島県立大野病院事件も「やる気に影を落とした」と福田栄院長。
県は周産期医療ネットワークを設け、救急搬送体制を整備。県立病院と大分大学医学部付属病院を中心にハイリスク分娩や急変時に対応。さらに別府医療センター、大分市のアルメイダ病院と連携し、効率的な妊婦の受け入れができるよう整備している。
二〇〇五年に県立病院に開設した総合周産期母子医療センターは、主としてリスクの高い妊婦を受け入れる。だが、それ以降に佐伯市の健康保険南海病院、中津市民病院、大分市の大分医療センターなど地域の中核病院の産科廃止が続いたため、「ローリスク妊婦」の受診が増え続けているという。既に占床率は100%で飽和状態。「このまま患者の集中化が進めば、医師疲弊による”共倒れ”すら危惧(きぐ)される」と、佐藤昌司産科部長は危機感を募らせる。
県内で年間に生まれる赤ちゃんは約一万人。県産婦人科医会の松岡幸一郎会長は「ギリギリの医師数で、どうにか支えているのが現状。国はようやく医師確保に動きだした。それでも医師が増えるにはまだ時間がかかる。県北などの空白地帯をどうカバーするか、連携強化など課題は多い」と指摘する。
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