
大分県の防災ヘリを用いた救急搬送について発表があった大分県医学会=19日、宇佐市宇佐文化会館小ホール
県医師会の「第七十一回大分県医学会」が宇佐市で開かれた。その中では県の防災ヘリコプター“とよかぜ”による救急搬送について二題の発表があった。
大分大学病院救命救急センターの和田伸介医師は「大分県防災ヘリを用いた広域病院間搬送システムの構築」を発表した。
同病院は今年五月、救命救急センター開設が認可された。それに備えて県などの協力を得て、防災ヘリをドクターヘリ的に運用するシステム構築を行い、今年二月から広域病院間搬送を開始した。
防災ヘリが大学病院近くのヘリポートでセンターの救急専門医をピックアップして搬送元の病院に向かい、そこから患者を運んでくるシステムで、要請からヘリが離陸するまで十分、離陸から大学近くのヘリポート到達までが七分、そこから県内の各地は二十分でカバーできる。
和田医師はこれまで出動実績について、病院間搬送二十一例、現場出動二例、キャンセル十二例で、病院間搬送の対象疾患はくも膜下出血が多いが、最近は外傷などもあり、バリエーションがあると語った。現場出動は、防災ヘリが救助した症例を専門医が現場近くで引き継いで治療しながら搬送した事例、キャンセルは悪天候や、防災ヘリが救助や捜索など他の事案に出動中だったなど。
どういう症例に防災ヘリを使うのが望ましいかについては、地理的問題で救急車より明らかに早く搬送できる(例えば離島など)、重篤な状態で救急車の振動が患者に悪影響を及ぼす(例えば脳血管障害など)などを挙げた。
また、大学病院の過去二年間の三次救急症例五百十一例の分析から、結果的にヘリを使った方が良いと思われた症例が九十例あり、その中でヘリが飛行できる日中に搬送できたと思われる例が六十二例あったことから、ヘリ搬送の適応症例は少なくとも年間三十例はあるだろうと語った。
このほど学内にヘリポートが完成、これにより、今まで使っていた病院近くのヘリポートまでの時間的ロス(車で十分)が無くなり、搬送時間が大幅に短縮されることも紹介、まとめで「われわれの目標は県内にできるだけ均一に、良質の高度救急医療を提供することにある」と語った。
別府医療センターの鳴海篤志医師は「防災ヘリコプターを活用した救急搬送の経験」を発表した。
今年二月にセンターに着任後、ヘリ搬送三例を体験。そのうち一例は重症多発外傷で辛うじて救命した例で、搬送元の医療機関や消防署が救急車で搬送するか、ヘリを要請するかの判断にかなりの時間を要した。このことから、“防ぎ得た外傷死”を無くすためには、確定診断や搬送方法選定に時間を費やしたりせずに、早期にヘリ要請を決断することが何よりも大事であると語った。
さらに、地域の高度な救急医療システム構築には、単に搬送手段としてだけでなく、救急専門医による高度な救命処置を現場に迅速に投入する手段としてヘリを積極的に活用していく必要があり、そのためにはヘリ搬送のメリットを搬送元の医療機関や消防にアピールしていくことが重要であると学会参加者に呼び掛けた。
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