恩師の三角順一・大分大学名誉教授(左)に博士号取得を報告する吉川政治さん
県薬剤師会検査センター所長の吉川政治さん(61)が、大分大学医学部の博士号を取得した。7年間、同学部の研究生として調査を続け、「大気中ヒ素濃度と肺がん標準化死亡比との関連性」についてまとめた論文が評価された。「『学問は年齢ではない』という恩師からの励ましで続けることができた。周囲の支えに感謝したい」と喜んでいる。
吉川さんは一九七二年に技術職として県に就職。衛生環境研究センターや保健所などで、大気汚染濃度の測定、河川の水質のモニタリング調査など、主に公害に関する仕事を手掛けてきた。
在職中の五十三歳の時、大分大学医学部の三角順一名誉教授の勧めもあり、「環境中有害物質と地理的分布、生活習慣病に及ぼす影響」について調査するため、同学部の研究生になり、公衆衛生医学第二講座に在籍。休日や仕事を終えた夜間を利用して研究を行い、二十代の若い学生に混じり、ゼミにも参加した。
吉川さんはまず、有害大気汚染物質の中でも研究事例の少ない、ヒ素に着目した。飲料水や食品に含まれるヒ素とがんに関する文献は多くあるが、大気中濃度との関連は明確になっていない。
環境省のデータを基に全国二百六十四の市町村のヒ素濃度と、肺がん、胃がん、脳血管疾患などによる死亡との関連性を調べた結果、肺がんでヒ素濃度との関連が出てきた。これを論文にまとめた。
「さらに疫学的な実証を重ねる必要はあるが、ヒ素の大気濃度を規制する明確な基準値づくりの一助になれば」と吉川さん。向学心旺盛な六十代の飽くなき挑戦は続く。
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