高床式倉庫とみられる建物の礎石が見つかった長者屋敷遺跡。郡衙正倉の遺跡内で見つかるのは西日本でも極めてまれという
中津市が一九九六年から取り組んできた、市内永添の郡衙(ぐんが)遺跡「長者屋敷遺跡」の発掘調査がほぼ終了した。遺跡は、九世紀前後の下毛郡(現中津市)の役場を構成する施設の一つ、「正倉」の跡。西日本の郡衙正倉跡ではほとんど確認されていない頑丈な高床式倉庫の存在を裏付ける礎石も見つかっており、市では「文化財の国指定を目指したい」としている。
正倉は、各郡内に置かれ、税として徴収されたコメを保管する施設。敷地範囲が特定された正倉跡が九州で発掘された事例は、国指定史跡の小郡官衙遺跡(福岡県)など極めて少ない。
長者屋敷遺跡は、東西九十メートル、南北百二十メートルに広がるきれいな長方形状と分かっている。これに加え、敷地内から発掘された平屋、高床式合わせて十五の倉庫跡のうち、高床式の一棟について、柱の下に敷いたとみられる直径七十五―百五十センチの礎石を十四個発見。市教委によると、礎石のある郡衙正倉跡が西日本で調査された事例は二例だけという。
官衙遺跡に詳しい奈良文化財研究所の山中敏史文化遺産部長は「礎石のある郡衙正倉跡は関東以北では珍しくないが、九州での発見は極めて貴重。今後九州の他地域でも見つかる可能性も出てきたのでは」と話す。
礎石のある倉庫について、市教委文化振興課では「かなりの荷重に耐えられる構造で、もみ殻の長期保存用に用いた倉ではないか」とみている。
同遺跡を含む周辺の約四ヘクタールでは、さらに倉庫の存在を推測させる炭化したコメが多数出土。「時代が下って正倉が移動したり、別の郡衙施設が近くにあった可能性も高く、周辺の調査にも取り組みたい」と同課。
市教委は二十日午前十一時から、一般市民向けに現地調査会を開く。雨天の場合は二十一日午前十一時から。問い合わせは市歴史民俗資料館(TEL0979・23・8615)まで。
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