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二宮政人被告初公判 検察側冒頭陳述要旨

[2008年09月11日 10:57]

 二宮政人被告の初公判で検察側の述べた冒頭陳述の主な内容は次の通り。
 ◆二宮被告の職務権限、内容
 二宮被告は二〇〇六年四月一日から同年十一月十八日までの間、県教委教育審議監を務め、市町村立学校教員の採用試験の実施、採用候補者の決定に関する事務を掌理。義務教育課長だった富松哲博教育審議監、義務教育課人事班主幹だった江藤勝由被告を指揮監督し、試験の集計結果を教育長に説明するなど決裁を受け、合格者を確定させる職務を担っていた。
 大分県では、一次、二次試験の採点結果に基づき順位を確定させて合格者を決定するとされていた。前々より、その過程において、各方面から教育審議監等の県教委幹部、義務教育課長、同人事班等に、特定の受験者を合格させてもらいたいとの依頼が寄せられ、依頼を受けた上司の指示等で集計作業担当者が試験の点数を加点、減点して順位を上下させていた。
 ◆矢野哲郎被告から依頼を受けたきっかけ
 二宮被告は〇一年度、県教委学校教育課参事。直属の部下だった佐伯市内の中学校教頭に信頼感を持ち、懇意にしていた。教頭は一九八四年度から県内の中学校教員。哲郎被告とも五年間、同僚として勤務し、その後も懇意にしていた。
 二宮被告は哲郎被告が指導主事をしていたころから顔を見知っており、教頭とゴルフをした際に、哲郎被告方に立ち寄ったことはあったが、直接の交際はなかった。
 教頭は哲郎被告の妻、かおる被告と同じ小学校に勤めていた自分の妻を通じ、矢野夫婦の長女が〇七年度試験の一次に合格したことを聞いた。哲郎被告のため、長女の合格を二宮被告に頼んであげようと思い立ち、〇六年九月三日、哲郎被告に電話で「誰かお願いしている人がいますか。いないなら二宮審議監を紹介しましょうか」と打診した。
 哲郎被告は江藤被告にも長女の合格を依頼していたが、「二宮被告にも頼んだ方が良い。頼む際にはわいろを渡そう」と考え、教頭に二宮被告と会う機会を設けるよう頼んだ。同四日、教頭は二宮被告に「矢野先生のお嬢さんが一次に通りました。矢野先生が試験のことで会ってほしいと言ってます」と電話。二宮被告は忙しいと難色を示したが、教頭から強く頼まれ、同九日の土曜日の昼に会うと約束。
 長女は同六日に二次試験を受験した。
 ◆商品券の供与、収受
 哲郎被告は教頭から、手みやげとしてシャツ仕立券でよいと言われたが、依頼するには百万円ぐらいは必要で、先に五十万円のわいろを渡そうと考えた。かおる被告とも相談し、わいろは大分市内のデパート商品券にすると決めた。かおる被告が同九日の午前中、同デパートにあるATMで五十万円を出金して商品券を購入。哲郎被告に託した。
 二宮被告は大分市内の料理店で哲郎被告、教頭と昼食を取った。哲郎被告が「娘が試験を受けていますのでよろしくお願いします」と依頼。二宮被告は「気に掛けておきます」と暗に便宜を図る返事。帰り際、哲郎被告は商品券が入った紙袋を手渡し、二宮被告は「そんなことせんでいい」と断るそぶりを見せたが、哲郎被告は「ぜひ受け取ってください」。教頭も口添えしたことから受領した。
 その後、二宮被告は職場に出勤。紙袋を教育審議監室の自席の机の引き出しにしまい、仕事の合間に中身を見て商品券であることを知った。仕事が終わってから、五十万円分であることを認識。二宮被告は長女を合格させてもらいたいとのわいろであると分かり、返さなければ大変なことになると思ったものの、もらいたい気持ちもあった。
 二宮被告は仲介した教頭が紙袋の中身を知っていれば他人に話してしまう恐れがあると心配になった。教頭には紙袋の中身を見る前になくしてしまったと言っておこうと考えた。帰宅途中、教頭に電話で「トイレに置き忘れてなくした」とうその話をした。気が楽になり、数日後から商品券を食料品、衣類、ゴルフ用品などに使い始めた。
 ◆二次試験に関する便宜供与
 二宮被告は哲郎被告から商品券を受け取り、長女の合格のため便宜を図ることを決め、部下の江藤被告に指示。江藤被告は哲郎被告から直接、長女の合格を頼まれていたが、上司からの指示もあって気楽に思った。長女は二次で合格ラインに届いておらず、点数を改ざんして合格ラインより上に押し上げた。
 二宮被告は成績表を見て、長女が合格圏内にいることを確認し、自ら決裁した上、教育長の決裁を受けて合格を確定させた。
 ◆商品券の供与、収受
 哲郎被告は同月末、江藤被告から長女が合格できそうとの連絡を受けた。矢野夫婦は、長女が体育の試験を受験していなかったが合格できたこと、長女が合格しながら大学院に進学することはないかと二宮被告が電話をかけてきたことなどから、江藤、二宮両被告が尽力してくれたものと認識。謝礼として商品券を贈ることを相談した。
 矢野夫婦は江藤被告に百万円、二宮被告に五十万円、教頭に二十万円、長女の面接官を務めた者に五万円を贈ることを決めた。同年十月、満期保険金の払戻金と財形貯蓄で、商品券購入費用を準備した。
 同月十日、合格発表があり、長女は合格していた。
 哲郎被告は教頭に、二宮被告へお礼をする機会を設けるよう頼み、教頭は二宮被告に電話。二宮被告は自宅に来ることを断ったが、仕事のついでに大分市内で会うことを了承。同月二十八日に会う約束をした。
 矢野夫婦は同月十四日、大分市内のデパートで百万円分と五十万円分、二十万円分の商品券を購入。それぞれ桐(きり)箱に入れて個別に包装し紙袋に入れてもらい、五万円分については面接官の自宅に配送してもらうよう手配した。
 二宮被告は同月二十八日、大分市内の料理店で哲郎被告、教頭と昼食を取った。哲郎被告が「このたびは審議監さまのおかげで娘が合格することができました。お力添えありがとうございました」と礼を言い、帰り際、二宮被告に紙袋を手渡した。二宮被告は「そんなんせんでいいに」と断ったが、哲郎被告が受け取ってほしいと言い、教頭も口添えしたため受け取った。
 二宮被告は帰宅し、五十万円分の商品券を確認。以前も五十万円分をもらっていたので、さすがに多すぎると思った。その後、教頭に電話で「こげん、ようけいもらえんから、取りに来てくれんか」と言ったが、額を知らなかった教頭は二宮被告に受け取るよう勧め、取りに行かなかった。
 同年十一月に入ってから、二宮被告が由布市教育長に就任するとの話が進んだため、二宮被告は就任前に片付けておきたいと考え、教頭に電話。教育長就任のお祝いということなら少しは受け取りやすいと話した上、受け取ることにした。
 二宮被告は同年十一月十一日と二十四日、デパートでスーツ、シャツ、コートなどの代金の支払いに商品券を使ったほか、食料品などの買い物に使った。
 江藤被告は矢野夫婦から商品券を受け取った。教頭は同年十月十四日、矢野夫婦から二十万円分の商品券が入った紙袋を渡されたものの、翌日、哲郎被告方に赴いて返した。面接官方に配送した五万円分の商品券については、同額の商品券が哲郎被告方に送り返されてきた。

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