<不正の波紋>
地域の様子一変
「ドンマイ チャレンジ 蒲江っ子」。夏休みが間もなく終わる八月下旬、佐伯市蒲江小学校の校長室で岡松寛校長(53)が掲示物作りに励んでいた。「つらい思い出もあったけど、新しい気持ちでスタートしよう」。新学期に笑顔で登校してくる児童との再会を思い浮かべ、そんな願いを込めていた。
前任の校長、浅利幾美被告(52)は六月十四日、贈賄容疑で逮捕された。二〇〇八年度小学校教員採用試験に際し、元県教委義務教育課参事の矢野哲郎被告(52)と共謀。浅利被告の長男、長女が合格できるよう元同課参事の江藤勝由被告(52)に、〇七年八月に商品券百万円分を、そして合格発表後の同年十月に現金三百万円を渡したとされる。
長男は過去二回の採用試験で不採用となり三度目の挑戦。長女は初めての試験で、いずれも合格した。県警の調べで、長男については江藤被告による採点データの改ざんが判明。「一人二百万円ということで当初は長男の分だけ依頼したが、結果的に二人が合格し、四百万円分を渡した」。浅利被告は関係者に告げた。
校長の逮捕直後から地域の様子は一変した。連日のように、テレビや新聞で校長の事件や同校のことが報じられ、児童や保護者らには不安と戸惑いが広がった。保護者の一人は怒りに似た感情が沸いた。「児童、学校は決して悪いことはしていない」
「意気込み感じる」
騒々しかった学校周辺は今、静けさを取り戻している。夏休み直前に赴任した岡松校長は毎日、登校してキャンプや社会見学、地域のボランティア活動に参加するなど、学校、地域に溶け込もうとしている。着任以来始めた「蒲江小だより」は六号まで仕上げた。校区内の全戸に配り、児童たちの生き生きとした姿を紹介している。
「教育熱心な土地柄。わたしたちが頑張れば、子どもはすぐに反応し、喜んでくれる」。岡松校長は教師としてのやりがいをあらためて感じている。父親の一人は期待する。「地域も新校長の意気込みを感じている。二学期には元気な蒲江っ子が集う、いつも通りの学校にきっと戻るはず」
4日に初公判
現職の校長や教頭、県教委幹部ら八人が摘発された県教委汚職事件。金、コネにまみれた腐敗の実態は、学校現場を揺るがせ、教育に対する信頼を失墜させた。あすから新学期。九月四日には浅利、矢野哲郎と妻かおる(51)、江藤の四被告の裁判が始まる。
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