採用取り消しなどの処分を発表する小矢教育長(右)ら=29日午後、県庁
大分県教育委員会は二十九日の臨時会で、県教委汚職事件に絡み二〇〇八年度教員採用試験で不正に合格した教員二十一人の採用取り消しと、そのために不合格となった同数の受験者の救済を決めた。〇七年度分については「パソコンデータや関係者の証言から信ぴょう性が得られない」と結論。採用取り消しはせず、不合格者の救済だけ行う。
二十一人の内訳は小学校教諭十四人、中学校教諭六人、養護教諭一人。これまで明らかになっていた小学校教員採用試験での不正に加え、新たに中学、養護教諭の採用試験でも得点改ざんがあったことが明らかになった。
採用取り消しの対象となる教員には、今後一週間をめどに県教委職員らが不正の事実を直接、説明した上で自主的な辞職を促す。納得しない場合は強制的に採用を取り消すことになる。いずれの場合も本人が希望すれば、臨時講師として雇用する。県教委は二十一人に関し、保護者を含めて公表しないという。
不正のあおりで不合格となった受験生の救済は、〇八年度分は本人の意思を確認の上、十月以降採用する。〇七年度については県教委が対象者の意向を聞いた上で、面接と論文による特別試験を実施し、合格者を来春採用する。
〇七年度の対象者数は「データは把握しているが、確定に至っていない」(照山龍治総務審議監)と述べるにとどめた。〇六年度以前はデータのほとんどが存在せず、調査不能という。
◆解説◆教員採用の不正合格者に対する採用取り消し処分はさまざまな矛盾をはらんでいる。公表された調査結果では長年、不正が繰り返されていた実態を明らかにしたが、取り消し対象は二〇〇八年度の採用者だけ。それ以前の不正については事実上”黙認”する不公平な対応にとどまった。
〇八年度分の対応にも県内の法律関係者は「不正を知らなかったケースで、取り消し処分はあまりに一方的。行政訴訟の提起も考えられる。教員への採用が決まったため、ほかの就職先を断った人などから損害賠償を求められることもある」と指摘。突然、担任が教室から姿を消す事態も想定され、新学期が始まった後も混乱は続きそうだ。
取り消しの取り扱いが分かれた原因を「不正を証明する根拠の信ぴょう性」とするが、そもそも最大の証明材料である答案用紙を規定に反して廃棄したのは県教委自身。今回の対応が県民や処分対象者の理解を得られるか疑問が残る。
内部の広範な処分を
教育評論家の尾木直樹法政大教授(臨床教育学)の話 一見よく考えられた処分だが、不正を招いた張本人の県教育委員会が裁いていることに違和感を感じる。県教委内部の広範な処分こそ必要だ。新たに採用される復活組も含め、不正行為によって不合格となった人への損害賠償の視点が欠落している。精神的、経済的、時間的苦痛を与えた罪の深さを認識すべきだ。この処分で信頼回復はありえない。だが追及し続けても現場は混乱する。「子どもたちのために奮闘せよ」とメッセージを出して、大胆に幕引きするのも一つの方法かもしれない。
「糾弾されるべき」
文科相
教員汚職事件で県教育委員会が二十九日、不正な点数操作で合格した教員二十一人の採用を取り消す方針を決めたことについて、鈴木恒夫文部科学相は「本人が知っていたかどうか分からないが、不正は糾弾されるべきで(取り消しは)仕方がないと思う」と述べた。
文科相は県教委から詳細な報告を受けていないとした上で「二十一人も不正があったことに怒りを覚える」と批判。「善後策を考え、必要があれば的確に指導していく。県教委も学校現場も、子どもたちに悪影響を残さないようにしてほしい」と注文を付けた。
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