県教委の元幹部は、周りの職員の目を避け、終業時間後に口利き依頼者との”密会”をしていたという=県教委
部下の目を避けて
「良心の呵責(かしゃく)はあった。それでも、県議などからお願いされたら、何とかしないわけにはいかなかった」
県教委汚職事件が、全国ニュースで繰り返し流れていた十日午後。一九九〇年代後半に県教委幹部を務めた男性は、何かを覚悟したように、これまで闇に葬られていた過去の実態を語り始めた。
「○○をよろしく頼む」。教員採用試験の時期になると、国会議員秘書、県議などが、次々と”合格依頼”に訪れた。部下の目を避けるため、会うのは決まって終業時間後。県庁舎内の一室での”密会”だった。受験者の氏名、受験番号、依頼元の人物を書き留めた。いつしか、手元には毎年十数人の「口利きリスト」が出来上がった。
「当たり前」の風習
「一次は実力だが、二次は調整できた」。二次試験の結果が出ると、教育長、教育次長(現・教育審議監)、担当課長らで合否について協議。ボーダーライン付近にいれば、合格点に達していなくても、不正操作で合格者リストに加えた。そして、正式な発表の約三十分前に、依頼元へ電話を入れた。
自宅には、ワイシャツの仕立券、酒、商品券…。中元や歳暮の名目で”お礼”が届いた。「通常の付き合いの範囲なら受け取った」。県教育界で脈々と続いてきた「当たり前」の風習に、染まってしまった。
県議らによる口利きはいまだに続いている。「(県教委幹部に)紹介することは当然ある」「誰でもやっている」「議員活動の一環だと考えている」「名前を書いたメモを渡し、合格した場合は早めに教えてもらえるよう頼んだ」「合否に影響するとは思っていない」。次々と証言する議員たち。
ある秘書は「支援者に頼まれれば断りにくい。たとえ合格できなくても、発表前に連絡すれば、『汗をかいた』と思ってもらえる」と解説する。
「こんな体質をつくったのは、不正を断ち切れなかったわれわれの責任でもある」。元県教委幹部の男性は疲れ切った表情でつぶやいた。
※無断転載を禁じます。 当ホームページに掲載の記事、写真等の著作権は大分合同新聞社または、情報提供した各新聞社に帰属します。
Copyright (c) 2008 OITA GODO SHIMBUNSHA