二〇〇七、〇八年度の合格者のうち、およそ半数がわいろや口利きによる”不正合格”だったとされる小学校の教員採用汚職事件。「不正採用だと思われるのは嫌だ」「頑張ってやっと合格したのに、本当に実力だったのか」―。今春から教壇に立っている新人教諭たちの胸中に、不安とやり切れなさが交錯する。
臨時講師を続けながら八回目の挑戦で関門を突破し、〇八年度の小学校教員採用試験で合格した二十代後半の女性教諭。誇りを胸に仕事に励んでいた。事件が起こり、保護者ら周囲の視線が気になる。「不正採用だと見られていないだろうか」
逮捕された浅利幾美被告(52)や矢野哲郎(52)、矢野かおる(50)両容疑者の子どもたちは、事件が発覚するまで、自分の親がわいろを使ったことを知らなかったとされる。
女性教諭は「誰が正しい合格者で、誰が違うのか確かめようもない。わいろなんて渡していないし、頑張って合格したと思っている。でも、何だか自信がなくなってくる。身の潔白を証明したい」。別の女性教諭は、過去に一点足りずに不合格になった悔しい思い出がある。「もっと早く合格できたのかもしれない。子育てで受験をあきらめた仲間もいる。(不正は)絶対に許せない」と唇をかむ。
教育界全体が不信の目で見られる中、小学三年生の担任を務める二十代前半の男性教諭は「ずるい事をしてはいけない、と子どもに諭しても説得力がない」と悩む。「自分たちを含めて公正な形で試験をやり直さないと、本当の信頼は取り戻せないのではないか。子どもたちにも申し訳ない」と話した。
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