会見で矢野哲郎容疑者の謝罪文を読み上げる弁護人=10日
慌てて返した
「支持者から頼まれたら断れない」「江藤勝由容疑者(52)=収賄容疑で再逮捕=の備忘録(口利きメモ)には、わたしの名前が入っているかもしれない」―。教員採用をめぐる汚職事件で、合格を依頼する複数の口利きルートが浮上している。県議や県内の市教委幹部らが十日、その実態の一部を語った。
「県教育長に頼んだことがある」。こう証言した県議は、金品の授受を否定した上で「これぐらいは議員活動としてみんなやっている」と強調した。
「一次試験を通っていることが(口利きの)条件だった」。二次試験前、教育長に電話して直接依頼したり、不在の場合は秘書係を通すなどして受験番号を伝え「一次は通っているので、お願いします」とだけ要望。「そうですか。頑張るように言ってください」と返事を受けたという。
「口利きを頼むため、菓子箱入りの紙袋の底に二十―三十万円を潜ませて持ってきた人もいた。慌てて突き返した」
正規の合格発表の前日に県教委から「通りました」「(不合格で)すいませんでした」と伝えられたという。
「知人から頼まれた三人を当時、参事だった二宮さんに頼んだ」。市教委幹部は以前、元県教委教育審議監、二宮政人容疑者(61)=収賄容疑で逮捕=に電話で口利きした場面を振り返る。
「よろしくお願いします。無理はしないでください」と告げると、「分かりました」との返事。結果は発表直前に、二宮容疑者から電話で直接伝えられ、一人が合格し、二人が不合格。「無理したんじゃないですか」と尋ねたが、その点は何も答えなかったという。
県教委幹部は「金品の授受はなかった」としたが、「中元や歳暮の名目でお礼はきていた。二万円ぐらいの商品券がきたこともあったが、通常の付き合いとしての『お礼』の範囲なら受け取った」と話した。
「もう一度襟正そう」
佐伯市で定例校長会
佐伯市内のすべての小中学校長が集まる定例校長会が十日午後、市内の公民館であった。出席した四十一人に対し、武田隆博市教育長が「教職員が一丸となり、もう一度襟を正そう」と呼び掛けた。
市教委によると、県教委汚職事件にからみ校長らの不在が続く学校には指導主事を派遣。要請に応じて、カウンセラーとして臨床心理士の派遣も検討している。
贈賄の罪で起訴された同市蒲江小学校長、浅利幾美被告(52)については、「厳正な処分をお願いする」との市教委の考えを、同日付で県教委に伝えた。
矢野容疑者「すべて話す」
教員採用汚職事件をめぐり、贈賄容疑で再逮捕された県教委義務教育課参事の矢野哲郎(52)と、妻で佐伯市内の小学校教頭の矢野かおる(50)の両容疑者が十日、接見した弁護人を通し「教職員に対する県民の信頼と、教え子たちの信頼を損ねた」と謝罪した。哲郎容疑者は「知っていることはすべて捜査機関に話し、事件の解明をお願いする」と話しているという。
調べでは、矢野容疑者夫婦は二〇〇七年度の小学校教員採用試験に絡み、長女の合格に便宜を図ってもらった見返りとして、〇六年九―十月に、元県教委参事兼教育審議監で由布市教育長の二宮政人(61)と、県教委義務教育課参事の江藤勝由(52)の両容疑者に、それぞれ金券百万円分ずつを贈った疑い。
大分市内で会見した弁護人によると、哲郎容疑者は「採用にはカネが動くといううわさを聞いていた。審議監の二宮容疑者にわいろを渡せば何とかしてもらえると思った。そういうことをしないと、なかなか受からないと思った」と話しているという。関係者によると、哲郎容疑者は佐伯市内の男性教頭の仲介で二宮容疑者と知り合い、大分市内の飲食店で二回に分け、わいろを渡したらしい。
矢野容疑者夫婦は十日付で県教委に辞職届を提出したが、県教委は懲戒処分の可能性があるため、受理していない。二人には、六月三十日付で夏のボーナス(支給割合は二・一五カ月分)が支給されている。
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