
秋葉原の無差別殺傷事件の現場で救命活動に当たった大分県立病院の山本医師
惨劇の現場に大分の医師がいた。東京・秋葉原で八日に起きた無差別殺傷事件。大分県立病院救急部長の山本明彦医師(36)は、事件発生直後に偶然、秋葉原を訪れ、犠牲になった東京芸大四年武藤舞さん(21)らの救命活動をした。「あまりに悲惨な現場だった。救急に携わる医師として、できることをしたかった」と、生々しく振り返った。
山本医師は東京での学会に出席。八日、昼食時間を利用して秋葉原に足を延ばした。
JR秋葉原駅を出ると、救急車や消防車が何台もやって来た。近くで四人ほどが倒れて血だまりができ、救急隊員らが心肺蘇生(そせい)をしていた。医師だと告げ、すぐに規制テープの中へ。消防の指示で武藤さんの処置をした。「痛い、痛い」。意識はあったが程度は重く、山本医師は「点滴の確保を」「すぐ搬送を」と救急隊員に伝え、ストレッチャーを押して救急車に収容、別の医師へ引き継いだ。
次に処置したのが東京情報大二年の川口隆裕さん(19)。トラックにはねられ、ほぼ即死状態だったが「できるだけのことを」と気道確保、点滴をして、搬送先の病院まで一緒に行ったという。
山本医師は昨年四月まで、都内の杏林大学救命救急センターに勤務。災害現場などで救命活動をする「東京DMAT(ディーマット)」の隊員だった。大分でも、今年発足した「大分DMAT」の隊員を務めている。
トリアージ実施
秋葉原では、けがの程度で処置の優先順位を決めるトリアージが施され、救命の見込みがない「黒」のタグを張られた人もいた。「感情的には一番症状の重い人から搬送しがちだが、冷静に対処していた」と山本医師。
それでも、病院の手配など、情報処理が追いつかず現場は混乱。「もし(東京よりも態勢の整っていない)大分でこうした事態が起きたらどうなるのか、不安を感じる。対応について、県全体で取り組んでいかなければならない」と話した。
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