会見する千田昇教授(右)と宇都宮鉄男・県生活環境部長=30日、県庁
大分県地震被害想定調査検討委員会(委員長・千田昇大分大学教授)は三十日、県内で発生する可能性がある大地震の被害シミュレーション結果を発表した。大分、別府両市の地下にある活断層「別府地溝南縁断層帯」で震度7の直下型地震があった場合、死者約二千五百人、建物の焼失・全半壊は十万棟以上の被害が出る危険性を指摘している。県は調査結果をベースに被害を極力抑えるための「県地震減災アクションプラン」を本年度中に策定する。
委員会は二〇〇七年一月から〇八年三月まで計六回の会合を開き、結果をまとめた。活断層やプレートが原因となる五つの地震について人的被害、建物被害などを算出。予想されるシナリオを描いた。県のホームページに詳しい内容を載せている。
別府地溝南縁断層帯に起因する大地震では、病院や避難所で被災者の収容力をオーバーしたり、物資不足や道路網が寸断する恐れがある。
崩平山―万年山地溝北縁断層帯(日田市―玖珠町―九重町)で震度6強の地震が起きた場合、一部の山間地で集落が孤立することも。東南海・南海地震では津波被害で多数の避難者が発生、「一カ月たってもなかなか減少しない」と想定した。
アクションプランは〇九年度から十年間が計画期間。住宅、公共建築物・構造物の耐震化率などできるだけ多くの項目に数値目標を盛り込み、達成状況を把握できるようにする。
シミュレーションは阪神大震災以降、全国の都道府県が手掛けたが、大分県だけが実施していなかった。
宇都宮鉄男・県生活環境部長は「『トンネルが多い』『海岸線が長い』といった、大分独特の地形に対応した効果的な対策が取れるよう、適切な目標を設定したい」と話している。
助け合う態勢づくりを
県地震被害想定調査検討委員会がまとめた被害試算は衝撃的な結果になった。「大分県にとって最悪」の別府地溝南縁断層帯を震源とする直下型地震では、大分、別府両市を中心に壊滅的な被害を想定。千田昇委員長(大分大学教授)は「県民は厳しい事態が起こり得ることを認識し、日ごろから十分な対策を取っておくことが必要」と呼び掛けた。
想定した五地震のうち、最も大きな被害が「別府地溝南縁断層帯」の直下型地震(マグニチュード7・5)のケース。大分市、別府市の一部で震度7の揺れが発生し、想定した冬季の午前五時、午後六時のいずれの場合も「両市を中心に建物倒壊や火災延焼による多数の死者が出て、病院や避難所は収容不可能になる」「ライフラインは途絶する」という。
この地震による避難所生活者は発生翌日で二十万人以上。一カ月後も十二―十三万人を見込む。その上で「被災者は過酷な状況に置かれ、長期にわたり心的外傷後ストレス障害(PTSD)へのケアが必要」になる。
東南海・南海地震は今後五十年以内に約90%の高い発生率を予想。揺れは震度5~4程度だが、高さ五メートルの津波被害を想定。「佐伯市などは地震発生から約十六分後に津波が到達。早朝であれば避難行動ができずに多くの死傷者が出る」と分析している。
千田教授は「ハード面の対策とともに、消防団機能の強化など地域で助け合う(共助)態勢づくりが不可欠」と指摘。「大分市で直下型地震が起きた場合は被害が甚大だけに、住民同士の共助が機能するかどうか不安だ」と話した。
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