客の方を向いて観光案内をするバスガイド。このおなじみの風景がまもなく見られなくなるかもしれない
バスガイドが着席し、客に背を向けて案内? 六月一日から施行される改正道交法で、バスガイドにもシートベルトの着用が求められる。自動車後部座席での着用が義務化され、観光バス、貸し切りバスも例外ではないためだ。バス各社は「ガイド誕生以来の大転換。魅力が半減してしまう」と頭を抱えている。
バスガイドは一九二八年、亀の井自動車(現・亀の井バス)が日本で初めて採用した。当時はバスガールと呼ばれ、七五調で観光案内をして好評を博し、日本全国に広がった。以来八十年間、常に客に顔を向けてコミュニケーションを取り、身ぶり手ぶりや話術を駆使して客を楽しませてきた。
地獄めぐりなど定期観光バス三コースを運行し、貸し切りバス三十六台を保有する同社は「車内ではバスガイドが主役。お客さまに背を向けるとなると、客足の減少につながるかもしれない」と危機感をにじませる。別のバス会社は「法律で許される中でやっていくしかない」としながらも、「高速道では着席して案内するが、一般道では警察などの正式見解が出るまで様子見をする」と対応に苦慮。バスガイドの一人は「お客さんにお尻を向けるなんて失礼。そんなことはできない」と漏らす。
警察庁は「お客さんの世話をするのが仕事なので、車内で立つのはいけないとは言わないが、必要最小限にしてもらいたい」との見解だ。
観光バスで別府を楽しんでいた埼玉県の会社員男性(65)は「座って観光案内をするのなら、録音テープを流すのと同じ。どうしても、というのなら、客の方を向いて立ったままシートベルトをできる装置があれば…」と話していた。
後部座席シートベルトの着用義務化
6月1日から、高速道・自動車専用道で違反すれば、運転手に行政処分の点数1点が科される。一般道路では当面、罰則はない。路線バスは対象外。警察庁は、後部座席の人がシートベルトをせず事故に遭うと、着用時に比べて(1)死亡率4倍(2)車外放出率2倍(3)前席乗員に重傷を与える確率51倍―とデータを挙げ、「安全面を考えるとシートベルト着用は必要」としている。
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