ふるさとの先人を通して地域を再発見し、人づくりに役立てようと、全国の自治体が手を取り合って開催しているのが「嚶(おう)鳴(めい)フォーラム」。県内からは竹田市が名乗りを上げた。4回目の今年は10月22、23の両日、全国から参加自治体を招いて竹田市で開催する。
嚶鳴とは中国最古の詩集「詩経」からの命名で、鳥が仲間を集めて鳴き交わすという意味。他県では上杉鷹山(山形県米沢市)渡辺崋山(愛知県田原市)などが取り上げられている。竹田市がテーマにしたのは同市出身の広瀬武夫(1868~1904)。日露戦争で戦死し、唱歌「広瀬中佐」で有名な旧海軍の軍人。司馬遼太郎の長編小説でテレビドラマ化された「坂の上の雲」にも登場する海軍初の「軍神」である。
では、軍神広瀬から何を学ぼうというのか。武芸に秀でているが純粋で行動はまじめ、勇気があって部下思い…。日本人はまさに理想的な日本男児像を広瀬の中に見てきた。まったくその通りなのだが、最近はロシア留学・駐在時代の広瀬が注目されている。ロシアの文学や思想、宗教を大変な努力で研究し、ロシア社会に溶け込んだ文化人としての人間広瀬である。
地域活性化で最近、郷土の先人、偉人を見直そうという動きが活発だ。県立先哲史料館もいま「子どもたちに伝えたい“わがまちの先哲”アンケート」をして、先哲探しのお手伝いをしている。広瀬淡窓、矢野竜渓ら約40人の先哲の名が挙がっている。先哲の業績と人となりを再認識する中で、その知恵や精神を学び、郷土への愛着と自信、やる気をはぐくんでいくのは大切だと思う。
どんな先哲や偉人にも原点があったはずである。そう考えて私たちの土地、風土をもう一度掘り起こしてみるのは無駄ではない。尊敬する人を尋ねると「お父さんです」と答える子どもが最近増えていると聞いた。それはそれで結構なことだが、そんな子にもう一人、人生の大きな目標にできる人物の存在を教えてやるのも私たちの役目ではなかろうか。(編集局次長兼文化科学部長・清原保雄)
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