かぼす的複眼思考~中央と大分、複眼の発想

国連「持続発展教育の10年」

[2011年10月10日 09:51]

元ユネスコ大使

佐藤 禎一さん

 【さとう・ていいち】大分市出身。京都大学卒。1964年、文部省入省。学術国際局長、官房長などを経て97年から3年間、事務次官を務めた。日本学術振興会理事長、初代のユネスコ日本政府代表部大使、東京国立博物館長などを歴任。豊の国かぼす特命大使。69歳。

 「持続可能な発展」という言葉は、比較的よく知られている。1987年に、国連が組織した環境会議からの報告「私たちの共通の未来」(議長の名前を取って、「ブルントラント・リポート」ともいわれている)が、持続可能性を保持しながら経済発展を目指す、という考え方を世に問うたものである。
 92年にはリオデジャネイロ(ブラジル)で国連「環境と発展」会議が開かれ、「アジェンダ21」としてまとめられた。この時点では、環境問題と経済発展との関わりが特に強調されたが、もともと、経済発展、環境、その他の社会問題という三つの柱が提唱されていたものであり、今日では、地球温暖化、平和、人権、貧困などの諸問題が、取り上げられている。
 このような持続発展性を大切にする考えは、教育でしっかりと身に付けさせる必要があるという考え方の下に、持続発展教育という理念が育ってきた。Education for Sustainable Development、略してESDと呼ばれている。
 リオのアジェンダ21の第36章で、既にその重要性が指摘されていたが、国際的にもその取り組みが進み、現行のわが国の学習指導要領には、教育内容にこの考え方を反映することが明示されるに至っている。
 2002年にヨハネスブルク(南アフリカ)で、世界環境サミットがあり、世界の首脳がこの問題をめぐって協議したが、わが国からは、表題の国連「持続発展教育の10年」の提案を行い、同年の国連総会で05年から14年までをその10年とすることが決定された。この縁から、国連は14年の最終年は日本で行うことを決議し、現在この問題の主務組織であるユネスコを中心に準備が進められている。
 ちなみに、12年は前記のブルントラント報告から四半世紀、リオのアジェンダ21から20周年に当たり、この間の活動の総括が行われることとなっており、14年に向けてこの課題の現状とこれからの対応方針をめぐって国際的な知恵の出し合いが続いていくことになるものと思われる。
 わが国での、学校教育での取り組みは既に述べたとおりであるが、ユネスコスクール(全世界で約8千校、日本では現在308校、申請中が80校)が主要テーマとしてこのESD活動に取り組んでおり、また、国連大学が中心となって組織しているこの問題についてのRCE(Regional Center for Expertise)が世界で80あり、日本には6センターが設置されている。
 残念ながら、そのどちらもわが大分県には設置されていない。14年には最終会合と呼応して、いずれの組織も世界大会を計画しているが、これらの組織は、国・県・市町村が予算でつくるようなものではなく、関係者の協力によって自発的に形づくられているものであるだけに、この機会に多くの関係者がESDやその課題への取り組みについて関心を高めてくださるとありがたいと思う。

過去のコラム - かぼす的複眼思考~中央と大分、複眼の発想

10月10日

8月08日

7月11日

6月20日

5月09日

4月18日

3月21日

2月21日

1月10日

12月20日

10月11日

週間ランキング

[PR]セントラル短資FX

※無断転載を禁じます。 当ホームページに掲載の記事、写真等の著作権は大分合同新聞社または、情報提供した各新聞社に帰属します。
Copyright (c) 2008 OITA GODO SHIMBUNSHA