別府市では、春恒例の別府八湯温泉まつりのイベントが中止となり、中国に向けて絶好の観光アピールとなるはずだった大型クルーズ船の寄港もすでに3回分が取りやめとなった。宿泊客のキャンセルなども相次いだ。
「被災した方々のことを思えばやむを得ない」「経済効果を期待していたが、こうした状況では…」と胸の内はそれぞれだろう。かつてない天災と、増え続ける死者・行方不明者。危機的状況が続く原子力発電所の事故や避難所の厳しい状況などに、気持ちはふさいでしまうばかりだ。
24日に別府市で開かれた大分政経懇話会3月例会では、気象予報士・防災士斎藤義雄氏が防災をテーマに講演した。斎藤氏によると、災害に対処する上で危険なのは、自分の安全を過大評価してしまいがちな「正常性バイアス」と呼ばれる心理と、自分から動かず、周囲の動きにつられてしまう「多数派同調バイアス」という心理が働くから、という。
前者は、万一の際を想定しても、自分が死んだり、大けがをしないことを無意識に前提としているため、十分な防災対策を取ったつもりでも、そうならないことがあるという。
原子力発電所でさまざまな問題が発生し、「想定外」が連発されている事態はこうした心理も関係しているのでは、と感じてしまう。
後者の「多数派同調」は、買い占めなどに走る心理がこれに当たるという。外国では地下鉄の火事で、誰も逃げだそうとしなかったため、多くの被害者が出た例が示された。
そうした中で、正しいことを正しいと認識できなくなることを防ぎ、自衛するには、正確な知識を持って、明日、地震があるかもしれないと心構えをしておくことだ、と指摘していた。
被災者の方々が、できるだけ早く日常の日々を取り戻せることを願いつつ、支援や協力を息長く続けなければならない。そのためにも、自分にできる備えをしながら、目の前の仕事に打ち込むほかない。(別府支社編集部長・藤原敦之)
(時事コラム風は終了します)
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