いま、またとない“追い風”が吹いている。それを生かせるかどうかは、これからの約7カ月に懸かっているのではないか―。
迂回(うかい)する車を横目に、仮設の専用レーンへと直進するバスに揺られながら、そんなことを考えた。
JR日豊線高架化に伴う国道210号大道陸橋(大分市)の撤去工事が始まった。今のところ大きな混乱はないものの、1日約5万台が通過する県都の“大動脈”を封鎖するという異例の大事業。マイカー通勤が大幅に減らない限り、天気などによっては周辺の迂回路で大渋滞が起きることは避けられそうにない。
どうすればいいのか。市民一人一人が通勤方法を見直すしかない。通行止めが続く今年8月ごろまでは、公共交通利用促進の社会実験のようなもの。一時的でも、マイカーからの乗り換えで利用客の増加が見込めるバスにとっては、大きなチャンスといえる。
バス事業の低迷が叫ばれて久しい。県内の路線バス利用客はピークだった1960年代後半、年間約9千万人を数えたが、今では4分の1以下の約2150万人(2007年度)に減少。利用客の減少は減便や赤字路線の廃止を招き、不便さが利用客を減らすという悪循環に陥っている。
マイカー通勤者を固定客に変えるためには「バスの方が便利」と思えるような方策が求められる。バスレーンの規制強化による定時制の確保や、利便性・サービスの向上などが鍵だろう。県都で知恵を絞り、事業者としての体力アップを図ることができれば、赤字路線を維持・充実させる余力も生まれてきそうだ。
大道陸橋が完成したのは1959年。当時、県内を走る車はわずか1700台ほどだったという。今では100万台近くとなり“1人1台”の時代。だが、その一方で、移動手段を公共交通に頼る人も多い。
事故防止、環境対策といった面からも、公共交通が担う役割は大きい。マイナス面ばかりが目立つ国道封鎖だが、私たちに車社会の在り方を問い掛けているような気がしてならない。(報道部長・小田圭之介)
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