時事コラム「風」

トリニータ支援は「権利」

[2010年12月01日 09:54]

 資金不足による大分FC(大分トリニータ)の緊急融資要請に対し、県文化スポーツ振興財団は11月、2億円を融資した。広瀬知事も特別な配慮を要請してきたため、財団は急きょ理事会を開き、延々3時間に及ぶ論議をした。というのも、5年前に2億円を融資し、まだ返済が済んでいない。しかし、大分トリニータは「県民チーム」であり、財団は苦渋の選択をした。
 先日、東京で傍士銑太(ほうじせんた)氏(日本経済研究所専務理事・Jリーグ理事)の講演を聴いて、なるほどと思った。欧米で人が住みたいと思う都市には大学とオーケストラとプロスポーツがある。しかもその多くに地域名が付く。大学もオーケストラも、そこの地域が支え、地域は子どもの教育などの恩恵を受けて豊かな文化的生活を実現し、このことが企業(資本)を引きつけているというのである。一方、日本にも大学などはあるが、地元と結び付いていない場合が多いという。
 ここではプロスポーツを見よう。日本ではプロ野球が代表格だが、親会社の一部門。個人でもスポンサー会社の宣伝媒体だから企業内スポーツ。つまり多くは企業の利益が主だ。
 このスポーツと企業の関係を打ち破ったのがJリーグ。チームは地域に密着し、一体となって地域の「広告塔」になる。確かに最近のチームを見ると、Jリーグは地域の自立を図る強力な運動体になれるかもしれないと思う。制度や権限などを超えて、地方が中央から独立するわけだ。
 そこで、大分トリニータの支援を地方主権のモデルにしてみないか。金はなくてもエンブレム一枚を張る力は個人も団体も持っている。これを県民の義務でなく権利として前向きに考えたい。サッカーは県境、国境を越えた試合ができるし、人的交流も可能だ。選手も、プロなら仲間のために働くという団体スポーツを極め、何としてもJ1復帰を果たしてほしい。
 そして大分県の場合、バスケットなど、他の包括したプロ集団「チーム大分」への道を探ってみてはどうか。以上、門外漢の愚見。
(編集局次長兼文化科学部長・清原保雄)

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