「節約疲れ」か、それとも「景気回復の胎動」か。低迷を続けてきた個人消費にこれまでにない動きが出てきた。3月の全国百貨店売上高は前年同月比3・5%減。下落率が過去3カ月に比べ縮小した。高額な宝飾品や食器などの家庭用品が売れ始めたという。
トキハでも2月の売り上げが前年並みに推移し、3月も計画達成と、業界環境の厳しい中で健闘している。聞けば数百万円の腕時計をはじめ、外商の顧客を中心に宝石や高級ブランドバッグなど、これまで買い控えていたものを購入するケースが出始めている。
このほか、高級牛肉や薄型テレビ、10万円前後の高機能炊飯器なども売れ、家電の売り上げは前年同月比5割増。牛肉や炊飯器などの人気は「プチ(ちょっと)ぜいたくをしよう」という機運の高まりからか。
薄型テレビについてはエコポイント制度の基準が4月から変わるのに伴い、対象外となる旧型製品の値下がりを狙った駆け込み需要が市場を活性化。県内でも前年同月の3倍を売り上げた量販店があった。
昨年7月の申請受け付け開始以降発行されたポイントは約1600億円分と言われ、これが新たな消費につながれば、小売業界にとって大きな追い風となる。
しかし、足元を見れば、県内の経済情勢は「悪いなりに下げ止まった状況」で、一昨年秋のリーマン・ショック以前の水準に戻りつつあるというにすぎない。自律的回復に向けた「芽吹き」を「花が開く」ところまで導くには、雇用・所得環境の改善は不可欠だ。
近年、特に大分県はカーアイランドの色彩を濃くしている。メーカーに生産拠点を集約する流れがある中で、地元の部品受注を拡大するのは雇用を増やすまたとない機会。製造業に設備投資が増えれば、地場建設業にも波及効果が生まれる。また最近参入が相次ぐ福祉や環境、農業で雇用を生むことができれば、回復基調が確実なものとなる。
天候同様、県内景気も冬と春が行きつ戻りつしている。雇用拡大による本格的な春到来が待ち遠しい。
(報道部長・宗 丈善)
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