時事コラム「風」

財政論議を深めよ

[2010年03月02日 10:10]

 バンクーバー冬季五輪が終わった。「金」の夢は果たせなかったが、スケート陣の相次ぐメダル獲得など見どころはそれなりにあったというべきか。 
 世界中の熱い視線がカナダ西海岸に集まっていたころ、欧州では大変な事が起こっていた。財政危機に陥ったギリシャ政府の緊縮財政に反発した官民の労組が大規模なストライキを実施。社会機能がまひする事態に発展したのだ。
 ギリシャは単一通貨ユーロの導入国であり、対応を一つ誤れば危機はユーロ圏全体に広がる恐れもある。貿易や金融取引を通じて圏外の国々にも少なからず影響が及ぶことになるだけに、世界中が同国の財政再建の行方を見守っている。
 日本にいると国家財政の破たんなんて「遠い国の話」って感じだが、実はこの国の財政も危険水域に近づいてきたとの指摘がこのところ目立つようになった。
 予算は税収が大幅に不足し、資金(財源)の大部分は借金(国債発行)頼み。国会で審議中の新年度予算が成立すると、国と地方を合わせた長期債務の残高は2010年度末に862兆円となり、過去最大を更新する。国内総生産(GDP)に対する比率は180%を超え、先進国では飛び抜けて高い水準で、借金する余力はなくなっている。
 「3割自治」という言葉の通り、自治体の予算は国からの配分に頼っており、国の財政状況に地方は無関心ではいられない。
 大分県や県内各市町村の新年度当初予算が出そろい、ほとんどの自治体は苦しい財政状況にもかかわらず積極予算を組んだ。疲弊した地域を何とか活性化したいとの思いはどこも共通だが、こうした予算を今後も続けていけるだろうか。
 地方は住民の暮らしを守っている。だから「要るものは要る」と堂々と主張すべきだ。ただ一方で「これは節約できる」とか「見送ってもいいのでは」と提案する機会がもっと増えていい気がする。財政を将来にわたって安定させるため、自治体として何ができるか。予算審議する各地方議会でも議論を始めてほしい。(政治部長・田中 竜)

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