時事コラム「風」

まちの“欠陥”にメスを

[2010年02月02日 08:58]

 別府は面白いまちだ。
 市街地でもちょっと入り込むと、人がやっと通れるような狭い路地が無数にある。古い木造住宅がひしめき、温泉を核とした強いきずなで結ばれた人々の暮らしに触れることができる。戦災を免れたため、貴重な建築物も多く、路地裏文化が残っている。
 半面、防災的には非常に脆弱(ぜいじゃく)なまちでもある。
 軒を連ねた古い木造住宅は、一度火が出ると燃え広がりやすい。狭い道路は防火帯としての役割を果たせず、鶴見おろしと呼ばれる強風が延焼を助長する。もし大地震が起きたら、古い木造住宅の多くは倒壊し、火が出たならば阪神大震災の時の神戸市長田区のように、辺り一面が焼け野原となりかねない。
 そんな別府で1月、またしても大火が起きてしまった。木造アパートから出た火は瞬く間に広がり、23棟を全焼。焼失面積は2900平方メートルに上り、一つのコミュニティーが消えた。
 防火活動や消防力の強化はもちろんだが、まちが抱える“構造的な問題”にもそろそろ手を付けないと、根本的な解決は望めない。
 古いまち並みを壊し、区画整理された新しいまちに造り替えることが理想だ。だが、現実的には難しいし、別府ならではの文化も守っていかねばならない。どうするか―。個々の建物の防火性能を高めていくしかないのではないか。
 火の移りやすい外壁や屋根、軒裏などを燃えにくい材料に変える。カーテンや内装も不燃性のものにすれば火の回りは違う。住宅不燃化の促進に、行政はもっと力を注ぐべきだろう。
 接する道路が狭すぎるため、建築基準法の規定で、そのままの位置には建て替えられない住宅も多い。新築の方が防災的には強いのに、安全を守るための法律が古い家を放置させる一因となっている。法律の弾力的な運用も必要だろう。
 まちの問題は、行政が主導しなければ変わらない。大火の教訓を生かし、防災とまち並み保存の両立を実現できなければ、悲しい出来事が繰り返されることは目に見えている。
(別府支社編集部長・小田圭之介)

過去のコラム - 時事コラム「風」

2月02日

1月26日

1月19日

1月12日

1月05日

12月29日

12月22日

12月15日

12月08日

12月01日

11月24日

11月17日

11月10日

11月03日

10月27日

10月20日

10月13日

10月06日

9月29日

9月22日

9月15日

9月08日

9月01日

8月25日

8月18日

8月11日

7月28日

7月21日

7月14日

7月07日

6月30日

6月23日

6月16日

6月09日

6月02日

5月26日

5月19日

5月12日

5月05日

4月28日

4月21日

4月14日

4月07日

週間ランキング

[PR]セントラル短資FX

※無断転載を禁じます。 当ホームページに掲載の記事、写真等の著作権は大分合同新聞社または、情報提供した各新聞社に帰属します。
Copyright (c) 2008 OITA GODO SHIMBUNSHA