別府は面白いまちだ。
市街地でもちょっと入り込むと、人がやっと通れるような狭い路地が無数にある。古い木造住宅がひしめき、温泉を核とした強いきずなで結ばれた人々の暮らしに触れることができる。戦災を免れたため、貴重な建築物も多く、路地裏文化が残っている。
半面、防災的には非常に脆弱(ぜいじゃく)なまちでもある。
軒を連ねた古い木造住宅は、一度火が出ると燃え広がりやすい。狭い道路は防火帯としての役割を果たせず、鶴見おろしと呼ばれる強風が延焼を助長する。もし大地震が起きたら、古い木造住宅の多くは倒壊し、火が出たならば阪神大震災の時の神戸市長田区のように、辺り一面が焼け野原となりかねない。
そんな別府で1月、またしても大火が起きてしまった。木造アパートから出た火は瞬く間に広がり、23棟を全焼。焼失面積は2900平方メートルに上り、一つのコミュニティーが消えた。
防火活動や消防力の強化はもちろんだが、まちが抱える“構造的な問題”にもそろそろ手を付けないと、根本的な解決は望めない。
古いまち並みを壊し、区画整理された新しいまちに造り替えることが理想だ。だが、現実的には難しいし、別府ならではの文化も守っていかねばならない。どうするか―。個々の建物の防火性能を高めていくしかないのではないか。
火の移りやすい外壁や屋根、軒裏などを燃えにくい材料に変える。カーテンや内装も不燃性のものにすれば火の回りは違う。住宅不燃化の促進に、行政はもっと力を注ぐべきだろう。
接する道路が狭すぎるため、建築基準法の規定で、そのままの位置には建て替えられない住宅も多い。新築の方が防災的には強いのに、安全を守るための法律が古い家を放置させる一因となっている。法律の弾力的な運用も必要だろう。
まちの問題は、行政が主導しなければ変わらない。大火の教訓を生かし、防災とまち並み保存の両立を実現できなければ、悲しい出来事が繰り返されることは目に見えている。
(別府支社編集部長・小田圭之介)
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