あらためて考えさせられた。鳩山政権の目玉政策である公立高校授業料の実質無償化と「あしなが学生募金」への影響だ。
高校授業料の無償化が実現すると、県立高校に通う生徒の場合、年間11万8800円(月額9900円)の授業料の負担から“解放”される。同額を基準に私立高校にも「就学支援金」が支給される。「家計が助かる」と歓迎する保護者の声は少なくない。
しかし、一方で「授業料が無償化されたら奨学金は不要では」という“誤解”も生まれ、あしなが学生募金の関係者に危機感が広がっている。病気や災害で親を亡くした子どもの修学を支援している「あしなが育英会」。貸与される奨学金は学生募金(街頭募金)に寄せられる浄財などで支えられている。「浄財が減ると、遺児たちの進学の門戸が狭くなる」と危惧(きぐ)している。
さらに、奨学金を受けている全国の高校生の大半は授業料の減免措置を受けており、「授業料が無償化されても免除されている生徒は恩恵を受けない」とも。
県内の修学困難な生徒を対象に奨学金を貸与している県奨学会。本年度、貸与を受けている高校生は約3千人で前年度から200人余り増えた。また、県教委によると県立高校の授業料の減免措置(全額免除)を受けている生徒は2618人(09年8月現在)で、生徒全体に占める割合は10・31%。記録がある1978年度以降で最も高い。データは経済的に厳しい家庭の増加をうかがわせる。
県奨学会の奨学金と授業料減免の双方を利用することは可能。「授業料の減免、次に返済義務がある奨学金を利用するケースが一般的な流れ」ともいわれ、授業料の無償化が実現しても恩恵を受けない生徒は県内にかなりいそうだ。
文部科学省の「子どもの学習費調査」(06年度)によると、高校生1人当たりの年間学習費(総額)は公立が約52万円、私立が約104万円。広く負担軽減を図ることも大事だが、苦学している若者の将来のため、手厚い対策を望みたい。
(社会部長・甲斐豊純)
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