スポーツ競技の屋内試合会場に行くと靴の整理が気になることが多い。礼儀作法を重んじている武道会場でも脱ぎっぱなしで見苦しい光景を目にすることがしばしば。こんなことでは勝負の前に結果は明らかだ。
そう思っていたら、昨年暮れに別府であった高校の全国規模の剣道大会で取材記者からうれしい話を聞いた。「阿蘇(熊本)の女子部員が会場入り口に散らばっていた靴をきれいに並べ直していた」という。記者はこのことを記事にしたいと言ってきた。
通常、試合結果や内容の報道が主となる大会取材ではそこまで記事にすることはない。だが記者は「こういう姿がどんどん広がっていってほしい」と感じていた。だから試合の本記の末尾に大会関係者の感想を加えて記事にした。
阿蘇高校剣道部は全国大会で幾度となく優勝している強豪校。おそらくどの会場に行っても当然のこととして靴を整理しているのだろう。指導者の教え。先輩の行動を見習ってきた後輩。そんなところに強さの秘密があるのかもしれない。
全国高校サッカー選手権大会に県代表として出場した中津工業・中津東合同チームも同様のことを感じていた。12月に高校スポーツ大会企画「挑戦 高校冬の陣」で紹介した同チームの逆境をはね返す精神力。
記者は広島観音(2006年インターハイ優勝)に影響された主将の言葉として「靴の並べ方など礼儀作法も全く違った。『オフ・ザ・ピッチ(ピッチ外)』のナンバーワンを目指しており、部室はいつも整理整頓されている」と驚いた様子を書いた。勝負ではナンバーワンになるのは難しいが、日常生活でナンバーワンになることはどのチームにも可能だ。そこから精神力も身に付いてくる。
スポーツ取材は競技結果や技術的なことに目が行きがちだが、試合に至るまでの過程にドラマが潜んでいる。そのことに着目した記事は読者を引き付ける。勝てばうれしい、負ければ悔しい。当たり前のことを当たり前に書くのは読む人に感動を与えない。
(編集局次長兼運動部長・高橋直義)
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