時事コラム「風」

「迷」から「明」に

[2010年01月05日 15:03]

 2010年の大分県経済を漢字一文字で表すと「迷」。県内企業を対象に昨年末、景気動向アンケートを実施し、結果は3日付朝刊で紹介した。国内景気は「悪化に向かう」と「やや悪化傾向」を合わせた回答がほぼ半数を占め、県経済も国内に比べ「落ち込む」と「幾分悪い」が半数近い。設問に微妙な違いはあるが、同日掲載した共同通信社の全国調査に比べ県内企業の方がより悲観的だ。
 アジア向け輸出などの持ち直しで回復基調の製造業にも、円高による下振れ懸念がある。非製造業では消費者の買い控えやデフレ(物価の継続的な下落)が企業業績を悪化させ、雇用者所得の減少、消費減退といった負の連鎖を起こしている。特に大分県の場合、「大手進出企業と地場中小企業の二重構造のひずみ(格差)は大きい」という。
 民主党中心政権に望む経済対策として8割の企業が消費刺激策を求めている。エコカー減税など消費を押し上げてきた一連の政策効果の息切れや、需要先食いによる反動を懸念してのことだ。公共投資の一律削減は地方経済に悪影響を及ぼしかねないが、住宅版エコポイント制度の創設は、県内の新設住宅着工戸数が過去最低記録を更新してきただけに、関連業種にとって追い風になるだろう。
 今後期待される成長分野は、鳩山由紀夫首相が政策の柱に掲げる「環境」と少子高齢化の産物である「福祉」の二つ。これに絡んで地元有識者は地熱発電や温泉エネルギーを生かしたエコビジネス先進県の推進、異業種を含めた企業連携での環境関連やシルバービジネスへの参入を提言する。
 「政権交代による政治の迷走や経済の低迷で混迷を極める」という理由で浮かび上がった「迷」。年前半は二番底(さらなる最悪期)の懸念も指摘されるが、年後半には新興国主導の景気回復や、子ども手当など政府の家計支援策の効果で個人消費が上向くというシナリオもある。せめて年末には海外市場の成長や企業努力による収益改善などで、希望の持てる「明」へと変わってほしいものである。
(経済部長・宗 丈善)

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