毎年300人もの大分県民が殺され続けている、と言えば、「まさか、冗談を」と人から笑われるのが落ちだろう。だが、事実なのだ。ここで言う「殺人」とは、自らの命を奪うことを指す。いわゆる「自殺」のことである。
昨年、県内に住所地がある自殺者は279人(厚生労働省調べ)。前年より23人減とはいえ、依然300人前後で推移している。1998年、企業倒産が相次ぐ中、全国的に突然、自殺者が急増。以来、毎年県内で300人、全国で約3万人が自殺している。
一件一件の自殺はマスコミでほとんど報道されることがない。そのため実感に乏しいが、この10年間の自殺者は全国で30万人。これで日本が「平和」だと言えるのか。まさに戦争状態と言っていい。県内では3千人。小さな町一つが消滅したかのような衝撃である。
さらに今年は雇用・経済情勢が厳しい中、全国的に2003年の過去最多に迫る勢いだ。国は慌てて緊急対策を打ち出した。わたしたちも一人一人が本気で考えないと自殺は防げない。
自殺の原因・動機で多いのがうつ病などの病気。さらに多重債務などの経済的問題や家庭、仕事の問題。しかし、いきなり自殺するのではなく、多くはそこに至るまでに一度は誰かに相談しているという。
県などは相談体制の整備を目的に、医療従事者や企業の人事担当者らを対象に研修を実施。多重債務者と接する弁護士らや、自殺未遂の現場に駆け付ける警察官との連携にも力を入れている。
自殺者の背後には10~20倍の未遂者がいるという。それぞれ身近な家族が5、6人いるとすれば、県内でも毎年3万人以上もの関係者がいることになる。
もしも身近な人から「自殺したい」と打ち明けられたら、どうしたらいいのか。(1)誠実に詳しく話を聞く(2)怒らない、説教はしない、励まさない(3)次に会う約束をする(4)専門家に連絡をする―。県内の自殺実態調査をした影山隆之教授(県立看護科学大学)のアドバイスを参考にしたい。
(社会部長・清田透)
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