時事コラム「風」

安保を考える機会に

[2009年12月15日 10:44]

 11月、沖縄県宜野湾市の米軍普天間飛行場を視察した。市街地のど真ん中にあり、軍用ヘリが周囲のビルや民家をかすめて離着陸を繰り返していた。危険極まりなく、2004年8月、近くの沖縄国際大学構内に墜落した。現場には焼け焦げた木が危険性の“証拠”として保存されている。
 在日米軍基地が集中する沖縄県の負担軽減策として1996年、日米特別行動委員会(SACO)の合意で普天間は「移設返還」とされたが、実行には移されていない。米国は現行移設先のキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)以外にあり得ないと強く日本政府に迫るが、沖縄県内や連立政権を組む社民党に県内移設反対の声が強い。鳩山由紀夫首相がどう判断するかが焦点となっている。
 SACO合意は大分県も無縁ではない。りゅう弾砲の県道越え実弾砲撃訓練が全国5カ所の陸上自衛隊演習場に移された。その1カ所が由布市、玖珠郡にまたがる日出生台演習場。98年度を皮切りに05年度まで6回実施された。訓練に反対しているグループの調査によると、多い年で570発の砲撃があったという。
 本年度は日出生台でも実施することになり、今月11日、九州防衛局が県や地元自治体に伝えた。来年1月下旬から2月下旬にかけて行う。4年ぶりとなる。期間中、周辺住民は誤射などの危険を感じながらの生活を強いられる。
 従来と異なるのは、小銃や機関銃といった小火器訓練が加わったことだ。07年に県などが九州防衛局と交わした新協定に盛り込まれた。りゅう弾砲訓練と同時には行わない―といった条件を付けたことから、県などは「訓練拡大ではない」としているが、反対派は「なし崩し的拡大」として抗議を続けてきた。
 戦後の安全保障は米国を抜きに語れない。米国の傘の下に入ったことで日本は“軽武装”で済み、経済発展を謳歌(おうか)できたが、米国追従の外交を強いられてきたとの見方がある。大分県民にとって日出生台訓練は、日米関係や安全保障の在り方を深く考える機会となる。
(編集局次長兼地域報道部長・松尾和行)

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