九州横断道路にほど近い山間部に位置する由布市湯布院町奥江地区。東京生まれ、東京育ちの橋本健志郎さん(61)がこの地に夫婦で移り住んでやがて6年になる。大手自動車メーカーの研究所でチーフエンジニアをしていた。「仕事に限界を感じ、次の生き方を考えた時、これからは土と一緒に生きようと決めた」という。知人の紹介で候補地として九州内の何カ所かを回った結果、水をはぐくむ森に近く、交通の便もいい奥江を移住先に選んだ。
有機無農薬でコメと野菜作りをする橋本さんは11戸18人の集落の中で一番の“若手”。公民館長や「森を元気にする会」の会長を務めるなど、地域活性化のリーダー的存在だ。
「限界集落」という言葉も使われる超高齢化の小規模集落が県内でも増えている。近い将来、消滅してしまう恐れのある集落も少なくない。こうした集落が存続するためには、橋本さんのような地域を引っ張る元気な人材が必要だ。
今、過疎地を抱える多くの自治体がU・Iターンの人材確保に躍起になっている。雇用延長などで定年後も働く団塊世代の退職が本格化する2012年に向け、自治体間の受け入れ競争は激しさを増している。
大分県は今年、U・Iターンの情報サイトをリニューアルした。日田市も情報サイトを開設、竹田市は移住促進を担当する農村回帰推進係を新設するなど各市も取り組みを強めている。
県によると、U・Iターンを考えている人の多くが「自然、温泉など大分の魅力は知っているが、実際に一度暮らしを体験してみたい」と希望するという。取り組みが先行している福井県は「雪かきワークステイ」「ジャージー牛のお世話」など、30近い短期の農家民泊・田舎暮らし体験メニューを用意している。
前出の橋本さんは「まず情報。希望する土地や住宅、農林業などに関する幅広く、適切な情報提供が大事だ」と指摘する。地域を元気にする元気な人材を大分に呼び込むことができるか。よりきめ細かな対策が求められている。
(編集局次長兼読者・情報センター長 白倉純)
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