各省庁が提出した2010年度予算概算要求の無駄遣いを洗い出す「事業仕分け」が注目を集めている。仕分け作業を託された委員と官僚との“攻防”は新鮮で、政権交代を強く印象づけている。
鳩山政権は誕生したばかり。選挙でマニフェスト(政権公約)は示したが、“国づくり”のビジョンは、まだはっきりしない。どのような将来像に向けて対象事業を選別し、仕分けをしているのか、疑問に感じる部分もある。仕分けの判定に閣僚から“異論”も出て、紆余(うよ)曲折がありそうだ。
折からの不況で、税収の大幅減少が避けられない。一方で、雇用対策や子育て支援など、課題は山積している。その中で、力を入れてもらいたいものの一つに「セーフティーネットの充実」がある。
県内では昨秋から、非正規労働者の大量失職が顕在化。行政は救済のため、臨時雇用に乗り出したり、住まいを失った人のために宿泊所を確保、紹介したりと対策に追われた。杵築市や日出町などでは、非正規労働者が生活していた社員寮(アパート)に空室が続出。今も地域経済に深刻な影を落としている。
厚生労働省が今年1月の調査で確認した大分市内の路上生活者は23人だったが、大分大学大学院の垣田裕介准教授(貧困問題)と支援団体は、今年8月までに56人を確認。「派遣切り」「雇い止め」で、路上生活者が増加している実態が明らかになった。
多くは支援団体のサポートで生活保護の申請、受給にこぎ着けたが、病気で就労が困難な人が10人以上いて、問題の解決は容易ではない。支援団体は今も、生活再建を支援する相談会や炊き出しを行っている。
景気は回復せず、人々の暮らしは厳しさを増している。「デフレ状況」といわれ、先行きは不透明。生活困窮者の増加も懸念される中で、再び寒い季節を迎えようとしている。
「路上生活者の把握に努め、セーフティーネットをフルに機能させてほしい」と関係者。行政の積極的な対応が求められている。
(社会部長・甲斐豊純)
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