時事コラム「風」

芸術文化短大の“思い”

[2009年11月10日 10:15]

 県立芸術文化短大(大分市上野丘東)で「芸短フェスタ2009」が開かれている。3回目の今年は特別、内容が濃いのである。
 10月から音楽、美術、染色、竹工芸、写真、韓国映画祭、講演会など、第48回芸短祭と合わせて30を超すイベントが展開されており、一大芸術フェスティバルの観を呈している。
 ヨーロッパの歴史と音楽をテーマにした「ウィーンはいつもウィーン?」は小林道夫、佐々木典子といったソリストの音楽を息がかかるほどの距離で堪能した。定評のある定期演奏会は聴き逃したが、佐藤美枝子の公開声楽レッスンを見学できた。あごを外さんばかりに開け、頭のてっぺんから“宇宙”へ向けて発声させる佐藤の妥協を許さない指導に「世界」の迫力を感じた。涙ぐみながらも佐藤に食らいついていく学生は、学ぶことの喜びを体感したのではないだろうか。

 今後も学科(美術、音楽、国際文化、情報コミュニケーション)を超えた学生の創作音楽劇「モーツァルトの生涯」をはじめ「竹と生活フェスタ」、佐藤しのぶのソプラノリサイタルなど魅力的な催しが12月まで続く。
 昨秋、就任した中山欽吾学長(大分市出身)は「文化の資産化」を訴える。文化は人間社会の資産として価値を生み出す、という。学外から講師を呼んで今春から始めた「学長プロジェクト」はその試みの一つ。
 同大は今、公立大学法人として生き残りを懸けた“改革”を模索している。改革には自己努力はもちろん、県民の理解が不可欠である。全学一丸となったこのフェスタも学長プロジェクトも、大学を開放して地域・県民と交流するのが大きな目的。最近の大学と民間団体との「協力協定」締結もこうした動きの表れだ。
 各学科の教授らが地域に出て子どもを指導したり自ら発表する機会も増やしている。正直に言うと「こんな優秀な指導者が県内にいたのか…」と驚くこともしばしばだ。再来年で50周年を迎える西日本でもユニークな芸術系大学である。一度、大学の“思い”に耳を傾けてみてはどうだろう。
(編集局次長兼文化科学部長・清原保雄)

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