先日、テレビで面白い特番を見た。GMを抜き世界一の自動車メーカーとなったトヨタ。ハイブリッド車でエコカー市場をリードしてきたが、ライバル企業が電気自動車で攻勢をかけてきたため、家庭で充電できるプラグイン方式の機種の投入を早め、優位性を保とうと懸命になっている。
原油価格の高騰や地球温暖化問題で自動車産業を取り巻く環境は急変した。異業種からの参入も増えており、各社は環境対応車の開発・普及に社の命運を懸けている。100年に一度の自動車革命だという。
「『21世紀も頑張ってくれ』という産業でいられるのか。それとも『20世紀はよく頑張った。21世紀は市場から出て行きなさい』と言われるのか。その瀬戸際だ」。トヨタの経営トップは自社の現状をこう表現した。「常にニーズを先取りしなければ、競争の時代を生き残れないぞ」と自戒を込めて語ったのだろう。
少々強引だが、自民党のことを言っているようにも聞こえた。戦後、ほぼ一貫して政権を握ってきた巨大政党も負けるときは実にあっけなかった。格差の拡大や年金問題に象徴される国民の将来への不安を克服する「解」を先の衆院選で示せなかったからだ。自民党にプラグインのような切り札はなかった。
一方、歴史的大勝で政権交代を実現した民主党。掲げる政策は果たして解なのか。それは今後の取り組み次第だ。あらゆる分野にメスを入れ、病魔を取り去るよう国民は期待している。新政権は今のところ高い支持率を維持しているが、重要な判断を関係者と十分な協議をせずに決めたように映る場面が何度かあった。判断を誤り、付けが国民に回るようでは本末転倒だ。
そうならないよう歯止めをかけられるのはやはり自民党だろう。政権末期はひずみが噴き出したが、情報や人的ネットワークの面で長年蓄積した強みもあるはずだ。態勢を立て直し、捲土(けんど)重来を期して国会論戦を盛り上げてほしい。日本の政治を進化させるため、強いライバルの存在は欠かせない。
(政治部長・田中 竜)
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