時事コラム「風」

国民的コンセンサス必要

[2009年08月25日 10:24]

 自民か、民主か。「政権選択」自体が大きな争点となっている今回の衆院選。日本人が好きな「戦い」に例えると、まさに関ケ原、「天下分け目の決戦」と言ったところか。選挙戦もいよいよ終盤に入った。
 歴史をひもとくと、徳川と豊臣の戦いは単純ではなかった。関ケ原で徳川方が勝っても豊臣方の勢力はまだ大坂城にあり、その後、冬の陣、夏の陣を経て徳川の政権は定まったのだ。
 各種調査を見ると、民主大勝の勢いである。しかし、仮に民主政権となっても初めてで、しかも大盤振る舞いの「公約」を掲げただけに、そう簡単に「安泰」といくのかどうか。まだまだ冬の陣、夏の陣に当たる波乱が待ち受けていそうである。
 4年前の「郵政選挙」で圧倒的な勝利を収めた自民。浮動票とされてきた若い人たちの多くが、「改革」を叫ぶ当時の小泉純一郎首相を支持した。そして、いったんは参院で否決された郵政民営化が決定した。
 自民は衆院での力を背景に、構造改革と呼ばれる規制緩和も推し進めた。その結果、何が起きたか。非正規労働者が増え、ワーキングプアと呼ばれる新たな貧困層が誕生し、社会問題となった。
 果たして郵政選挙で自民に投じた人たちは、これら構造改革のすべてを容認していたのだろうか。そうではあるまい。一つ一つの政策に賛成、反対があるのが当たり前なのだから。
 今回の衆院選も同じことだろう。自民か、民主か。一見、分かりやすい争点だが、その政策はどちらか一方にすべてを任せられるほど単純でもない。双方に一長一短があることを忘れてはならない。
 あらためて言うまでもなく、国会議員や官僚が国をつくるのではなく、国民がつくるのである。国会議員らはそのための“道具”でしかない。どの政党が政権を握ろうとも、国民のコンセンサスを得られた政策を進めるのが政府・与党に課せられた仕事なのである。
 選挙は大事だが、その始まりでしかないことも確認しておきたい。
(社会部長・清田透)

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