「まさか自分が…」と誰もが思う。めったにあることではないが、起きたときの損害は計り知れない。
豪雨により、山口県防府市の老人ホームが土石流にのみ込まれた。死者・行方不明16人。また、高齢者が犠牲になってしまった。
現場は県が指定した「土砂災害警戒区域」。もし、そこに老人ホームがなければ、単に山間部で土石流が起きたにすぎない。地価の安さなどを優先し、危険な所に施設を造ってしまったことが悔やまれる。建ててしまったのなら、砂防工事など十分な対策が欠かせなかった。防ぐことができた事故だったといえる。
山地が約7割を占める大分県も人ごとではない。県内の土砂災害危険個所は全国トップレベルの約2万カ所。平野部でも、これまで人が住まなかったような低地や山肌へと住宅地が拡大している。いわば災害と隣り合わせの生活。そして最も被害を受けやすいのは、決まって高齢者や低所得者といった社会的弱者だ。
科学は進んでも、集中豪雨や地震といった自然現象の発生を防ぐことはできない。だが、人は被害を最小限に抑えることはできる。
土砂災害や河川のはんらん、浸水、地震―。「まず、身の回りにどんな危険が潜んでいるかを正確に把握することが大切」と専門家は指摘する。
家の造りは大丈夫か。周辺に変わった様子はないか。もしものときはどうやって逃げるか。防災グッズはそろっているか…。個人レベルでも、できることはたくさんある。
「起きるかどうかも分からないのに…」と考える人もいるだろう。しかし、災害に遭う確率はそう低くもないのだ。
集中豪雨や台風のシーズンを迎えた。県内で1時間に50ミリ以上の豪雨が降る頻度は、この30年間で約2倍に増えた。政府の地震調査委員会は、大分市で今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率は48・3%と予測している。
後悔してからでは遅い。それぞれが防災という“保険”を掛けても損はない、と痛感している。
(別府支社編集部長・小田圭之介)
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