「へ」はいいけど「も」や「か」はダメだ。そんな話をしていたら、6月下旬にスポーツ紙が「も」と打ってきた。何の話かというと大分トリニータのシャムスカ監督の進退問題。スポーツS紙は「シャムスカ更迭」と大きく報道。「これはやられた」とよく見ると、迭のそばに小さく「も」の文字。駅売りなどで見出しで買ってもらおうとよく使う手だ。
「更迭も」は更迭かもしれないし、そうでないかもしれない。どちらに転んでもいい、逃げの原稿。「更迭か」もほぼ同じ。「更迭へ」となると先にあるのはその事実と重ならなければならない。それだけ重い原稿ということだ。
選手補強でもスポーツ紙は競って書き立てる。そのほとんどは「も」や「か」。実現されないことが多いが、可能性はゼロではない。書かないことへの言い訳じみているが、確率が低くてもその部分が書けるスポーツ紙、確率が高くないと書かない一般紙といった図式となっている。そんなことを思っていたら、ついに千葉に負け13連敗となった翌5日朝刊、「シャムスカ解任へ」を掲載した。
ところが12日、磐田に負け14連敗となっても「解任!」は決まらなかった。「シャムスカはどうなるの」。そう聞かれて「実は…」と言えるほど自信はない。なぜか。それはシャムスカ監督の実績にある。大分県民の多くが、昨年までを高く評価していることだ。もう一つは監督の責任といってしまうには、故障などあまりにも不運が重なったことだ。
だがプロスポーツの監督は成績で進退が決まる。与えられた戦力で戦わざるを得ないとはいえ、そこが監督の評価となる。「この戦力で戦ってそこそこの成績を」とフロント。ファンはそうは思わない。応援するチームは「毎試合勝つ」。そう願っている。だから負けが込むと、かわいさ余って憎さが百倍となる。ファン心理は複雑だ。
シャムスカ監督はどうなるのか。結論を先送りし続けるのは決して得策とは思わないが…。(編集局次長兼運動部長・高橋直義)
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