時事コラム「風」

悪法なら、チェンジを!

[2009年06月16日 10:14]

 ギリシャ神話には数多くの神々が登場する。その中の一人が、法や掟(おきて)、正義の女神テミスだ。彼女は手に正義の剣と公平を表すてんびんを持っている。その彫像やレリーフは公正さのシンボルとして、裁判所や弁護士事務所などに飾られている。
 ところが、その女神の顔をよく見ると不思議なことに気が付く。両目が布で目隠しされていたり、両目をつぶっている。なぜか。それは法を守るには、権力の有無や貧富などに左右されないようにするためだという。それほど人を裁くのは難しい。神さえも心を惑わされまいと必死なのだ。
 国民参加の裁判員裁判制度が始まった。一般市民が裁判官とともに殺人や放火などの凶悪事件を裁く。神様さえ心を惑わされず公平に裁くことを難しいと感じている。それだけに、一般市民が「自分にできるのだろうか」と不安に思うのは無理はない。ましてや情報のはんらんする現代、先入観を持つなというのは酷な話である。
 この制度、よく見れば見るほど問題点が多い。量刑まで決めることから、死刑制度がある日本では一般市民が死刑を宣告することになるのだ。さらには裁判員となる市民には「評議の秘密」の守秘義務が課せられ、罰則もある。裁判官は退官後に話しても罰せられないのに、市民の裁判員には墓場まで守れという。
 被害者のプライバシー保護の観点からも問題がある。裁判員を決める際、多くの候補者に対して事件当事者との関係の有無などを問うが、性犯罪の被害者名が守秘義務のない裁判員以外にも知られる可能性がある。性犯罪は対象事件から外してもいい。
 市民が司法に参加する意味は否定しない。だが、どうせなら世界に誇る制度にすべきだろう。
 ソクラテスは「悪法も法なり」と言って毒を仰いだという。だが、法は神ならぬ人間が決めたことである。悪ければ変えればいいのだ。裁判員裁判制度も3年後に見直しをする。悪法(制度)なら、法(制度)をチェンジ!。
(社会部長・清田透)

過去のコラム - 時事コラム「風」

6月16日

6月09日

6月02日

5月26日

5月19日

5月12日

5月05日

4月28日

4月21日

4月14日

4月07日

週間ランキング

[PR]セントラル短資FX

※無断転載を禁じます。 当ホームページに掲載の記事、写真等の著作権は大分合同新聞社または、情報提供した各新聞社に帰属します。
Copyright (c) 2008 OITA GODO SHIMBUNSHA