わたしたちの社会は、さまざまな出来事にあふれています。事件、事故、裁判、選挙、行政、産業活動、文化科学、スポーツ、地域の話題―。人々は”時代の風”に吹かれながら生活を営んでいます。
大分合同新聞は日々、ホットな出来事や話題を伝えています。さらにニュースの背景に踏み込んで課題や問題を提起しようと考え、時事コラム「風」を設けました。ニュースの第一線に立つ編集局の各部長が、それぞれの主張を盛り込んで執筆します。掲載は朝刊に毎週1回。
市長経験者の一人が現職時代を振り返って「二十四時間、三百六十五日の仕事だった」と、感慨を込めて語るのを聞いたことがある。同じ思いは自治体の大小を問わず、首長たちの誰もが抱くに違いない。
取材者として見てきた彼らの日々はまさにそうである。議会答弁、庁内外の会議、来訪者との懇談、各種行事でのあいさつ、県庁や中央省庁への出張…。判断や決断が常に求められ、結果責任を問われる場合もある。そのような激職になぜ就こうとするのか。しかも選挙という“超激務”を経てである。
多くの立候補者が「住民のために」と答える。その言葉を素直に受け止めたい。政治の世界を志すには、私を捨て人々のために尽くすという強い動機が不可欠だからだ。だが、長くいすに座っているとおごりが生じたり、腐敗が進んで事件になるケースさえある。志がゆがんだ結果である。
しかし、「住民の志」もまた問われる。首長は直接選挙で選ばれる。そこに正統性があり、強い権限を与えられる。選挙の際、住民が判断基準とするのは、誰を選べば自分が抱く地域像が実現するか―だろう。
地縁、血縁といった従来の“選挙道具”は効果が薄れつつあるが、それでも選挙にはさまざまなしがらみが残る。それをぬぐい去り、公約で判断するという強い意志が有権者に求められている。
市町村合併から四年を経て県内では今、四市で市長選が行われている。うち三市は市議選とダブル。合併で失ったものの方が大きいという言葉を、特に旧郡部で聞く。しかし、現状を嘆いていても始まらない。状況を変える手段が選挙であり、それに参加することから一歩が始まる。
(編集局次長兼地域報道部長・松尾和行)
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