時事コラム「風」

地方よ、もっと怒れ

[2009年04月14日 18:24]

 「ETC千円ちゅうけど、恩恵を受けるのは都会の連中だけじゃ。国の政策に踊らされてマスコミは騒ぎよんけど、大分は高速道路もそれほどねえのに、おまえんところはそれを書かんのか」。耳の痛い言葉が受話器の向こうから飛んできた。
 読者からの指摘、その通りである。大分県は南は佐伯まで東九州自動車道が延びているが、今はそこで行き止まりだ。北は対象となる有料道路を入れても宇佐まで。辛うじて西は大分自動車道が九州自動車道とつながっている。しかし、縦横無尽の網の目模様に高速道が走る大都市とは雲泥の差である。
 ETCとは高速道路の自動料金収受システムのことだ。国の緊急経済対策として、同システムを使えば、二年間にわたって土曜・休日が半額、しかも上限千円で「走り放題」となる。ドライバーの中には五月の連休に向け、旅行プランを練っている人もいるだろう。
 しかし、高速道が未発達の大分県では、メリットは薄いのだ。利用の範囲は限られ、大都市に住む人たちと恩恵の差は大きい。もともとその理由で、県内のETC普及率はわずか16%台(二〇〇七年度末)と低かった。ただ、県外の観光客を受け入れるチャンスである。その点は大いに利用してもらいたい。
 先のミニバブルでは大都市が大いに栄え、地方への恩恵はこれからという時に、この大不況だ。金持ちは好不況にかかわらずもうかるが、貧乏人は好況の時は蚊帳の外で、不況の時は真っ先にその影響を受ける。地方がそれにあたるのだ。
 今回の不況も地方の工場で真っ先に「派遣切り」が始まった。工場そのものの閉鎖もある。まさに地方は使い捨てにされている。
 都市と地方に恩恵の差が出ることに、国はどう考えているのだろうか。いや、そんなことも考えていないと勘繰りたくなる。
 緊急経済対策とはいえ、格差解消の本質を変えなければ、結局は付け焼き刃の政策でしかない。「ETC千円」にうかれている時ではないのだ。地方よ、もっと怒れ!
 (社会部長・清田 透)

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