時事コラム「風」

市民のコンセンサスを

[2009年04月28日 18:01]

 「全体像が把握できず、意見の出しようがない」。経済界の数人に今の県経済の課題を聞いたところ、こういう答えが返ってきた。大分市の中心市街地活性化についてである。
 計画は「JR大分駅北側を商業、南側を情報文化の都心と位置付け、高架化により新しい都心を形成する」とし、昨年七月に大分市が国の認定を受けた。二〇一三年三月までに総額二百五十億円を投じ、行政と民間で計五十七事業を実施。目玉は上限百四十三億円の複合文化交流施設である。
 周知の通り、中心市街地の“地盤沈下”は著しい。週末の通行量は六年間で約25%減り、地価は八年間で40―50%程度下落した。三月末に撤退した「大分サティ」の跡地利用も決まらず、「市街地の衰退が加速する」と商店経営者たちは嘆く。
 一方、大分市上宗方のスーパー跡に出店したホームセンター「トライアル稙田店」のオープンは、ウイークデーにもかかわらず周辺道路が大渋滞した。週末のトキハわさだタウンやパークプレイス大分は駐車場が満杯。個人消費の冷え込む中、郊外施設の集客は中心部と明暗を分けている。
 限られたパイ(人口や購買力)の中で一度離れた消費者を市中心部に呼び戻すには、多くの市民のコンセンサスなしには実現できないことを強調したい。市はこれまでも市民から意見を求めているが、実際にどれだけの人が計画を理解し、支持しているのだろうか。
 昨年七月に経済五団体が主催した「県都大分のまちづくりフォーラム」には三百人以上が参加し、市民の関心の高さを裏付けた。大分駅を高架化する連続立体交差事業を進める県と、駅南土地区画整理事業などを展開する市、駅ビルを建設するJRの話を「一堂に聞いてみたい」と思っている市民はきっと多いはずだ。
 百年に一度といわれる中心部の大開発。公共工事がピークの三分の一にまで減少する中、大量工事で経済を潤すことができる千載一遇のチャンスでもある。スケジュールにとらわれすぎて後世に禍根を残すようなことがあってはならない。
 (経済部長・宗 丈善)

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