明日を守る 番外編・防災のポイント20

イントロダクション

低下する森の保水力

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森の健全性を確かめるため、水が浸透する速さを測定する大分大学の武井特任教授。大分市住床で

 「ほら、土が水を吸い取っていくでしょう。この保水力が災害を防ぐんです」。武井雅宏・大分大学教育福祉科学部特任教授が手作りの簡易実験器具を使って「水の浸透能力」を解説した。
 大学近くの森で実験した。飲料用アルミ缶の底を切って逆さにし、飲み口を土に差し込んだ状態で一定量の水を注ぐ。水がなくなるまでの時間を計れば、飲み口の面積から浸透能力を計算できる。浸透能力の高さは、土壌中に水をよく吸収する腐葉土が多いことを示しており、山林の保水力が高いことにつながる。
 「山林が高い保水力を発揮すれば、雨水が一気に川へ流れて洪水になったり、地下水位が上昇して土砂災害が起きる心配は減る」と武井特任教授。
 実験によると、クヌギなど落葉広葉樹林が最も水の浸透能力が高い。次いでシイといった常緑広葉樹林、杉・ヒノキの人工林(針葉樹林)と続く。「杉・ヒノキは比較的根が浅い。手入れすれば問題ないが、密植を防ぐ間伐ができていないと下草が生えず、スポンジのような役割を果たす腐葉土も形成されにくい」と言う。
 しかし、過疎と高齢化、木材価格の低迷で、管理の行き届かない人工林が増えている。杉山が広がる日田市前津江町の男性(77)は「十五ヘクタールの山林を持っとるが、もう二十年手入れしてない。伐採しても採算が合わんき」と話す。
 県内では、間伐が必要な人工林は全体の64%。うち、二〇〇〇年から五カ年の緊急対策に伴う間伐達成率は89%だが、林業関係者は「後継者不足などで今後、間伐放棄が増える可能性がある」と指摘。県農林水産研究センター林業試験場によると、間伐してない山林は間伐林に比べて、雨による土壌流出は十倍から百倍に達するという。
 さらに、伐採跡地が三年以上植林されないままの再造林放棄は、九九年の百七十三ヘクタールから〇五年の六百六十四ヘクタールへと四倍近くに増えている。


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