『生きるって、なに?』たかのてるこ著 こじらせアラフォーをも懐柔

「宇宙」とか「愛」とか言われると、じんましんが出るようになりました。嘘です。嘘ですが、なんか苦手意識がありまして。なんでだろ。自分が見たことがないもの(宇宙とか)を、「ある」前提で連呼されることが、そのテンションについていくことが、なんかしんどいのかな。胡散臭く感じるのかな。わっかんないけど。

 で、本書です。著者は今から18年前(もうそんな前か!!)にエッセー『ガンジス河でバタフライ』でデビューした、たかのてるこ。この処女作、たしかすんごい売れて、クドカン脚本、長澤まさみ主演でドラマ化もされたのよね。まさに一世風靡という言葉がよく似合う、言わずもがなのベストセラーだったわよね。

 で、そんな彼女の新刊は、愛とか宇宙がてんこ盛り。おおお、そうでしたか。そういう感じでしたか。これまでの作品を読んだことがないからこれが平常運転なのかわからないんだけど。

 写真と詩で構成されている本書は、問いに対する答えが数珠繋ぎに続き、展開されている。それはタイトルにもある「生きるって、なに?」という、子供の質問のような、でも誰もが一度は考えるであろう問いから始まる。そこから世界の仕組みが解き明かされていくのだけど、愛と宇宙が超頻発。あら、また会いましたね。もはや主な登場人物です。なんならそこに「粒子」も加えましょうか。でもね、不思議なんですけど、じんましん、出てないんすよ。スピリチュアルって怪しいに決まってるという、偏見ありまくりのアラフォーの心をも懐柔する、本書は一体なんなんだ。

 きっと、自分をいっぱい責めてきたのかな。落ち込んだり、自信がなかったり、優しくできなかったり。著者は、そんな自分と逃げずに向き合ってきたのかな。だから説得力があるのかな。経験を、試行錯誤を、学んできた軌跡を、ちゃんと全部咀嚼して、血肉になったものだけで語っている感じがするから、素直に聞けるのかな。今この瞬間を、余すところなく味わおうって、思えるのかな。

 こんなひねくれアラフォー女をも手玉に取る、恐るべしたかのてるこ。恐るべし、職業「地球の広報・旅人・エッセイスト」。食わず嫌いの先には、なんだかずいぶん、優しい景色が待っていました。

(terubooks 500円+税)=アリー・マントワネット

2018年8月2日

新刊レビュー

本の世界へようこそ!注目の一冊を、やさしく厳しく批評します。

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